Round 4  聖女&魔王によるスロット攻略法1『征く道はただひとつ』



 魔王による擬似〇ぎゅボイスの呪いは1週間で解け、ようやく先読み症候群も解消された。しばらくカスタマイズはやめておこう。


 しかし……そろそろ大勝ちしたい!


 勇者との戦いあと、実は成果がない。

 最近はちょこちょこ買ったり大負けしたり、一進一退……否、一進五退くらい。


「ということで今日はスマスロを打つ!」

「前に配信してましたねぇ」

「今日はもっと苛烈な奴だぞ」

「スマスロ第1弾! 万枚獲得は設定1でも期待できるぞぃ!」


 朝の並び、運良く良番を引いた俺。

 なぜかその後ろには橙髪の聖女と黒髪の魔王がいる。なんというヒキ……


 まぁせっかくだし、こいつらと打つことにしたわけだが。



「いくぞ──諭吉の数は十分か?」



 開店とともに、多くの客がスロットコーナーへ流れていく。それぞれの狙い台へ。俺達も革命の台へ3人並んで座る。


「革命じゃー!」「革命ですぅ」


 666の先へ──革命だ。

 


 ◇ ◇ ◇



 スマートスロット最初期の台というのは試作ということもあり、かなり荒い。


 例えるなら、負けてるときは金をシュレッダーに入れるのと変わらないってことだ……それは他の台も変わらない気がするけど。


「うへぇ、何も起きず3枚目じゃ……」

「ほんとにあたるんですかぁ?」

「前はもうちょい早かったんだがなぁ、イベント日のはずなのに」


 レバーを叩きボタンを3つ押すこと数時間。CZチャンスゾーン→ハズレを繰り返すだけの修行僧が3人。


 ……当たらねぇ。

 もはや金を使ってボタンを押しに来ただけじゃねーか。こりゃ遠隔だな。


「そろそろ当たりがっ……と?」


 CZ突入から「Vを狙え」の指示。


    V

    V V V

    V


 あ、揃った。

 やっと当たったぁ…………諭吉3枚以降は捲るかどうかになるからな。


「我も当たりじゃ!」

「わたくしもですぅ」


 なぜこんなところだけ同時に揃うんだ……


「……まぁいいや、問題はBIGかREGか」


 まさに天国と地獄。

 どっちだ──⁈


 7 7 7 カクメイボーナス!


「ぃよしっ! よし! BIGだ!」


 後はBIGボーナス中に666枚獲得できればART――まだイケる!


 隣にいた聖女と魔王は――

 

「ぉ、ぉぉぉぉぉおおおお」「キィエェエェェェェェェェ!」


 7 7 V ――決戦REGボーナス


 左右からの阿鼻叫喚。

 よくあることだ、台パンがないだけ平和なモンである。


「ふっ……どうやら勝利の女神は俺だけに微笑んだらしい」


 いつもいつも碌な目に合ってないからな、今日は先を行かせてもらう。

 アニメOPと共にボーナスが開始。油断するな、勝負はここからだ。


「聖女よ、諦めるでないぞぃ!」

「魔王様、あれをやりますぅ!」


 な、なんだ……?

 まさかここから逆転する気か……? いや、別に当たるっちゃ当たるんだが。


 ちなみに決戦ボーナスの場合、敵キャラクターを4回攻撃できれば勝利。逆に敵の攻撃を2回連続で受けると終了、通常モードから大当たりへの道のりをやり直しだ。


 それを決めるのが押し順。ボーナス中のボタンを押す順番なのだが……前にやった時、敵の攻撃ばかりで遠隔を疑ったものだ。

 左から始まる押し順なら大当たり確定だが、大抵は中か右だ。連続でこちら側の攻撃が決まるなら、誰も苦労しないわけで……

 

 左右の異世界者たちは目を閉じ両手を組む。

 2人の全身から湯気に似た『何か』が揺らめき、やがてそれは俺の頭上を越えて、混ざり合う。


「我――我が道を征く魔王なり」

「我――神の道を征く聖女なり」

  

 ……できれば俺を挟まないでほしい。

 詠唱は続く。


「突き進むは信じた道」「そこに迷いはなく」「たとえ霧に満ちた世界だとしても」「我が進む先は」


「「勝利のみ!」」


 混ざり合った『何か』は俺の台まで包み込み――



「「『征く道はただひとつザ・ライトウェイ』!」」



「うぉ、またか!」


 『何か』の発光と共に、聖女も魔王も鼻息荒く決戦に挑む。


「お前ら……何したの?」

「事前に予習したからのう、ここまで来たなら魔力前回じゃ!」

「ただ因果律に関与するのでぇ、今回は魔王様との協力ですぅ」


 いん、がりつ……?

 何を言っている……んだ???


 2人は決戦に挑む。ハズレは右ボタンから。左、中なら継続。

 

 セットカンリョウ、サァイクゾ!


 ひとまず真ん中から始まる押し順なら成功だが……

 聖女と魔王の目に曇りはない。揺ぎ無きパチンカスの瞳。


「征くぞ、我らの道は――!」

「真ん中ですぅ!」


 レバーオン。

 そして押し順ナビが1と示すのは、中ボタンだった……


 ……進む道って、そういうことかよ!!



 ◇ 


 参考機種:パチスロ 革命機ヴァルヴレイヴ

 いつかやりたい、コンプリート機能発動(詳しくはググってください笑)

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