打て。諭吉の続く限り

Round 1 遠い出る店より近いボッタ店




 俺の周りには、異世界からパチンコを打ちに来る奴らがいる。


 異世界パチンカスである(命名、俺)。




 今日も今日とてパチンコ屋。

 繁華街の店の方が出るというがそこまで繰り出すのは面倒だ。大して勝てないと分かっていても、近所の店へ通う……それがパチンカス。


 ……お、大勝ちしたことあるから。

 3万発出したことあるから……!


「んぉ? そういえば兄弟子ぃ、はどうしたんじゃ?」

「あ? んなもんとっくにやめたわ」


 何を打つかうろついていると、背後の真央マオ──もとい、黒髪の魔王は問う。頭から伸びる2本の紅角は相変わらず。ドレスは着ておらず、上下赤のジャージだ。


「大体なぁ、男だってのにパンツの色聞かれるのは正直嫌だぞ」

「投げ銭と一緒に来ていたのは笑ったのぅ」

「チャンネルの運営も魔女に返したし、俺は通常営業に戻るぜ」


 勇者を現世から追放後、再びふらっとやって来た銀髪の魔女。そして「やっぱ打ちたいから」とさらに魔王までトンボ帰り。


 どうやらもう、平和なパチンコライフはないらしい。


「お、まだこれあったのか……」

「なんじゃなんじゃ?」


 それはP機への完全移行を機に消え去ったと思っていたCR機。

 撤去されたと思ったんだが、まだある……これ大丈夫なのか?


 ……いや、気にする必要はないか。

 俺に責任ないから!


 カザアナアケルワヨ!

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