Final Round【フリーズ】 やっぱり魔女は、パチンカス



 白銀しろがねシルバ──もとい、銀髪の魔女が異世界へ再び帰って1ヶ月。



 平穏なパチンカスライフは変わらず。

 この前の貯玉もまぁまぁ減ってしまったので取り返す為、新台と勝負している。


 ──守りたい諭吉せかいがあるんだ。


 2000年以降に放送されたあのロボアニメの台が打てるのは感無量。お気に入りはアサルトシュラウド装備の機体。


墨乃すみのスミレ、いきます!」


 ◯おつー

 ◯がんばれ〜

 ◯毎週のように打ってんな

 ◯かわいい

 ◯開店から打ってて草

 〇負けんなよー


 一応弟子だからな、師匠のいない間にもこうして配信はしている。チャンネル名出したら撮影許可が出ると思ってなかったが……


 それもはじめて数週間、まぁまぁ小慣れたものだ……台のガラスに映ってるのが女の子というのは違和感しかないけど。


 しかしやはり最近までの、魔法ありきの実践に巻き込まれていたからかどうも物足りない。奴らがいてこそな気もする。


 ──いかん、頭が魔法に染りつつある。


 雑念を振り払え。

 チェッカーに玉をいれて当たりを引くことに集中するんだ!


 

 当該保留、右の数字が滑り……台画面の中で紫の種が現れ──砕け、







 ポヒィィィィィィ────







 種は砕け散り、擬似連……

 にはならず、台は止まった。


「え……?」


 世界は静止する。

 打ちだされている玉も、けたたましい音に包まれているはずの店内も、同胞パチンカスの動きも、全て。


「…………新手のフリーズ?」


 そう考えに至るのもパチンカス故か。それとも何かの魔法か、はたまた魔法か。打ち出されないハンドルを回している間に、中央通路からコツコツと、軽快な足音がやってくる。


 黒いローブで全身を覆い、頭にはつばの広いこれまた黒色のとんがり帽子。深く被った中から覗く、艶のある銀髪。


「安心しました、新台は空いてますね」

「台確保のために時間止める奴、はじめて見たわ」


 彼女ヤツが杖を振るうと、時は動き出す。雑にカメラを向ければ、魔女は営業スマイルでニッコリ。


「みなさ~ん、お久しぶりで~す!」

 


 ◯シルバやん!

 ◯帰ってきたのか⁉︎

 ◯はやw

 ◯戻るの早くて草

 ◯パチンカスwww



「んで……師匠はなんですぐこっち戻って来たわけ?」

「新台が出たら打つ……当然のことでしょう?」


 至って当然と言わんばかりに、銀髪の魔女は不敵に微笑む。


「……やっぱお前、パチンカスの魔女だわ」




   真・パチンカスの魔女 第2章

   〜異世界の脳を焼かれた者達〜

        (了)⁉︎






 ◇ ◇ ◇


 参考機種:PF機動戦士ガンダムSEED

 

 第2章、お付き合い頂きありがとうございました。

 よければ読了の意味も込めて☆評価してもらえると嬉しいです。

 ぜひぜひよろしくお願いします!!

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