Round 22 激アツが外れても動じない心を
「ギャハハハハハ! 当たりが止まんねぇ〜」
その後勇者の絶唱台は止まることなく10000発を記録。
外れる7テン。勇者以外はテンパイこそするが、激熱演出もすべからく外れていく。しまいにゃ店員を呼ぶ客まで出始めている。そりゃそうだ、7テンを何連続も外したら血管壊れるぞ。店内は阿鼻叫喚。
「ぐぬぬぅ……魔力さえあればこんなことには」
「おやおやぁ? 魔王もかたなしじゃねーの?」
煽り返された
「キィエエエェイ! 当たらん当たらん当たらないイイィィィィィイ!」
◯イってて草
◯このギャップがたまらん
◯つかこれ遠隔じゃね?
◯でたパチンカス
その光景に目もくれず、確変を駆け抜けた銀髪の魔女はまた、当たりを目指していた。
「おい魔女! 謝るんなら今のうちだぜ?」
「……」
「何も言えないかぁ? おらっ弟子、お前の運気は吸ってねぇ、俺様に勝てばこいつらの魔力戻してやるよ」
視聴者も見守る中、灰髪の魔女のカメラがこちらを向いた。
「あのさ……これ攻略でもなんでもねぇだろ」
「は?」
「何言ってるんデス?」
「銀ぱ──シルバはシルバでさ、他人から運気吸い取るとかそんなやり方してないし……こんなのはパチンコじゃないんだよ」
パチンコとは孤独に静かに、しかして胸を踊らせて打つもの。他人から運を奪い取ってやるものじゃない。
「勝てばいいんだよ勝てば! 圧倒的な実力差にビビっちまったか? ギャハハ──」
「いや……お前には負けないけどな」
一見反則級の攻略法に見えるが、この勇者の魔法に勝つ手段は簡単だ。条件さえ呑ませれば絶対に勝てる。
しかしここまで大掛かりなことをした勇者を倒すのも忍びない。わずかに残った情が、勇者にあんかけの如くかけられる。
「威勢がいいな博徒風情が!」
ちゃんと働いてるんだけど……
隣の灰髪の魔女も既に勝った気で不気味に笑う。
「ヒ、ヒヒ! 不憫デスね、負け犬の弟子は……! ま、魔力もないのにどうやって」
「魔力なんてなくったってお前達はパチンコを打った時点で敗北が確定してんだよ」
「なにっ⁈」
「断言する……お前が俺に勝てることはない! 7テンの確率よりもな。大体、いちいち激アツ外して心が折れるほどヤワじゃねぇよ、俺は」
最近は先バレだの先読みだので鍛えられてるしな。
例え魔力がなかろうと、全てのパチンカスはあの魔法が使える。
それはどんな魔法よりも強力で、
代償は計り知れない──が、
「お前らの最強魔法とやらはこの墨乃スミレがぶっ壊してやるよ」
◯スミレ覚醒キターッ!
◯やだ、かっこいい……
◯いよいよ対決っ?
◯盛り上がってまいりました!
すべてのパチンカスに送る。
パチンカス究極魔法、此処に。
◇ ◇ ◇
近況ノートに主人公のカメラ越しの姿、『墨乃スミレ』のイメージ図を投稿してます。良かったらお立ち寄りくだされ~
https://kakuyomu.jp/users/mutamuttamuta/news/16817330661986913337
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