台離席中 勇者、企むwith灰髪の魔女
場所は変わり、とある異世界の王国。
月夜の晩、兵舎にて。
「がはっ……勇者殿、なぜ……⁉︎」
不意打ちを受けた金髪の女騎士が膝をつく。それを支えるように、金髪の魔女(見習い)である妹が近寄る。
見下ろすは赤髪の勇者。
「ハッ、頭ン中まで筋肉かてめぇは! 俺様をコケにした魔女と魔王と、聖女と……あと、あいつ……え~と……とにかく魔女の弟子とかいう野郎をメッタメタにしねぇと気が済まねぇんだよ!」
「だからってお姉ちゃんの剣を取らなくてもいいでしょ⁉」
「るせぇっー! なんで俺様が普通の名剣でこいつが聖剣なんだよ⁉ 勇者にこそ聖剣がふさわしいだろうが!」
「それは勇者殿が弱いからでは……?」
魔法の質は銀髪の魔女が、剣の腕は金髪の女騎士が、人徳や人柄は橙髪の聖女が優れており、勇者の勝っているところはまさにネームバリューのみ。
「と、とにかく! 聖剣があればあっちの世界でも魔法の質が上がるってもんだ。だよな、灰色の魔女さんよォ!」
影から現れたローブ姿の少女。灰色の髪をなびかせて、ヒヒヒと笑う。
「ヒヒヒ……! も、もちろんですとも、聖剣とぼ、ボクの魔具があれば運気の操作など造作もなし……ゆ、勇者様の勝利は確実でしょう」
「よぉし! それならさっさとあっちの世界に攻め込むぞ!」
勇者は灰髪の魔女を引き連れ、再び地球へ向かう。
忌々しい銀髪の魔女一行へ……そして自分をコケにした魔女の弟子と名乗る男へ復讐するために……
「魔女殿、先生……お気をつけて…………!」
「お姉ちゃん、お姉ちゃん⁉」
「……zzz」
「寝てるだけ……?」
だが所詮はパチンカス。
シリアス展開などはなく、
この翌日、一晩寝た金髪の女騎士は何事もなかったかのように回復。それほどまでに、勇者の剣術は非力なのである。
ちなみに……恨まれている当の本人たちはこの時、寿司のガチャで脳を焼いていた。
「も、もう食べられん、ぞぃ……」
「お腹いっぱいですぅ~」
「おい! もう5皿行けるか⁉」
「一貫もので行きましょう、米は胃に溜まります」
パチンカスの明日はどっちだ⁉
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