Round 20 パチンコ実践チャンネル『突撃! 白銀シルバの実践来店』
「はぁ~い、みなさんこんにちは! パチンコ実践系実況者の
「ツレの
「ツレ2の
「……………………
「な、なんだこの茶番は……?」
〇シルバきたー!
〇マオちゃんかわいい~
〇オトメちゃんでっっっっっっ!!
〇人数増えてて草
〇全員パチンカスワロタw
〇ひとりテンション低っ
〇てか隣の男だれ?
この状況を説明するには時間を少し遡らなければならない。
◇ ◇ ◇
「うぉいっお前ら! 俺様と勝負しろ!」
後ろで赤髪の青年が喚く。
「200番かぁ……今日スロットは無理だな」
「同じく。150番では良台は難しいですね」
「おぬしらはまだマシじゃろ! 我なんぞ420番じゃ」
「な、739番ですぅ」
待ちに待ったイベント日、激アツと呼ばれる7月7日。マイホールで抽選を受けたものの、ひどい番号。
これでは設定狙いは困難極まる──
「反応しろよぉっ〜!」
「んもうなにぃ? お前何番だったの?」
「は……864……」
「だぁっーはっはっは! ヒキ弱勇者がおるぞぃ!」
かつての宿敵が勇者を嘲笑う。
てっきり煽りに乗ってくるかと思ったが、なぜか勇者は不気味に笑う。不審者である。
「フフフ……そうやって笑ってられるのも今のうちだぜぇ〜? おい、やれ!」
ぬるっと勇者の背後から新キャラが現れる。身体は勇者の胸の高さほどと、ちょっと小さめ。銀髪の魔女よりちょっと明るい黒色のローブを纏った、灰色の髪の少女。灰髪の魔女とでも言おうか。白い歯を見せて不気味に嗤う。
こいつ……ずっと勇者の後ろに隠れてたのか?
「ヒヒヒ……先輩、お久しぶりデス!」
「貴方は……」
挨拶もそこそこ、突然灰髪の魔女は懐から水晶玉を取り出し輝かせた。
「この世界なら、ボクの方が強いデス〜!」
「うぉ、まぶし……!」
周囲が閃光に包まれると、数秒後には何事もなかったように戻る。昨今の台並みの光量を予告なしに見せつけるのは暴力だ。すぐにでも店員を呼びたい。
「ギャハハハハ、これでお前らの魔力は奪い去ってやったぜ! 返して欲しかったら俺様と勝負しろっ!」
「んなアホな……」
あんまり大声で魔力とか言わないで欲しい。そういうのは10代で卒業なさいな。
……と思ったが、
「──魔力が、消えている……⁈」
「我も感じないぞぃ⁉︎」
「わ、
「うそん……」
「女騎士から奪った聖剣と、この地味魔女の力さえ合わせればこんなもん朝飯前だ! ギャハハハハハ!」
なんかよくわからんが魔法発動に必要な魔力を失ったらしい。
すんげぇ雑な処理。
「これでわかっただろ! さぁ魔女の弟子ッ、師匠を助けたかったら俺様と戦え!」
「え、嫌っす」
めんどくせぇ……
自称するのはまだいいが、他人に言われるとなんか腹が立つ。
「お、お前ぇっ……師匠が路頭に迷ってもいいのか⁈」
「別に関係ないし……」
というか並び始まるからどいてほしい。遅れるとケツ入店なんだぞ。何のために早起きしたと思ってやがる……が、勇者はまだ絡んでくる。
「た、戦えよぉ〜っ!」
勇者の姿かこれが……?
「人に物を頼むときのやり方じゃないなぁ」
「うぐぐ…………ます」
「あ?」
「お・ね・が・い・し・ま・すっ!! これで文句ねぇか⁈」
「まだ誠意が足りないねぇ」
馬鹿馬鹿しい、なぁんで俺が勝負しなきゃならんのだ。
歯噛みする勇者に胸を張って見せると、女性陣からは呆れたため息が聞こえた。それはそれとして、銀髪と灰髪が対峙していた。
「貴方……なぜ勇者の側にいるのですか?」
「ヒヒヒ、いつまでも2番手の魔女だなんて言われたくないデスからね!」
「お前こんなパチンカスに勝ったって何の意味もねーよ」
「凡人にはこの魔女の凄さが理解できないようデスね」
パチンカスの凄さと言われてもなぁ……
「次席に甘んじていましたが、今日こそボクが1番になりマス!」
「魔力を奪った私を倒してですか?」
「いつも先輩言ってたじゃないデスか、『どんな手を使ってでも勝て』と」
汚い、やはりパチンカス汚い手段。
「成長しましたね……まぁ弟子が勝負するかはともかく、撮影だけしておきましょうか」
……こうしてどこから用意したのか、カメラなどの機材を出して配信がスタートしたのである。灰髪の魔女がカメラを回してくれるのは単に映りたくないからなのだろうか……
結局並び順の札は無効となり、通常入店する羽目になってしまった。やはり関わると碌な事にならない。
というか、何で魔力がないのに俺はTS状態でカメラに映ってんだよ⁉
「ではでは~白銀シルバの実践来店スタートぉっ!」
魔力が奪われようと打つ。
それがパチンカスの魔女である。
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