脳を焼かれた異世界の者たち

Round1 パチンコやめるって言ってやめた奴はいない




 自己紹介なんていらないだろ、俺はただのパチンコ好きの刹那主義パチンカスである。ただちょっと、変な目に遭ってるだけ。




「さて、今日は何を打ちましょうかねぇ~」


 ある朝、誰にとっても平凡な週末。

 働く喜びに打ち震える平日の5勤を終え、俺は近所のパチンコ屋へ来ていた。


 誰に指図されるわけでもない、自由な空間。何を打って勝っても負けても恨みっこなし。ふざけた『魔法』なるインチキを使った女もいたが、それは置いといて。


「……ん」


 ふと、甘パチ1/99の島で足が止まる。

 特に理由はない。


 いや、敢えて言うなら台よりもそれを打っている人物が目に留まってしまったのである。


「朝から打倒しじゃー!」

 

 頭から2本の紅角を伸ばす、紫のドレスに赤いスカジャンを羽織った黒髪の少女。捻じれた角は天井に向けて伸びている。ご立派に。


 銀髪の魔女パチンカス曰く、異世界で戦っていた『魔王』とやらである。開店直後から諭吉さんをサンドへ突っ込むその姿に優雅さや偉大さなどはなく。見事に素質パチンカスを開花させている。髪色で揃えてたから、黒髪の魔王ってとこだな。


 目の合った美少女パチンカスは、大袈裟に手を振ってくる。


「ぬぉ? おぉー兄弟子ではないか!」

「誰が兄弟子だ誰が」


 とはいえ、朝っぱらから打ちに来ている俺も同じ穴の狢……もとい、パチンカスである。


「まぁ座れぃ。今日は甘パチの釘が良いぞ」

「いつの間にそんな観察スキルを……」



 ……え? きれいに全回転で終わったじゃんって?



 パチンカスがそう簡単に終われるものかよ!



◇ ◇ ◇



        第2章

  異世界の脳を焼かれた者たちパチンカス、開幕。


 ※終わってからやっぱり書き足りなかったので何話か作ります。

 前章と異なり毎日更新ではありませんが、どうぞお手柔らかに。

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