Round 6 魔女によるパチンコ攻略法その3 『大地激衝』
あれから1週間。コスプレ女ことパチンカスの魔女が気になって仕事に身が入らない。
そもそもなんで魔女がいるんだ?
現代の生き残り? 異世界転移?
考えは尽きないがその結論がパチンコなのはもっと謎だ。脳でも焼かれてんのか?
といいつつ今日は早めに仕事が終わったので、夕方に主戦場たるパチンコ屋へ。
今日は気分を変えてデジパチ+羽根モノ。時間も少ないしな。
某菓子メーカーがテーマの台である。要するに『う〇い棒』。
初当たり4500発に加え、右打ちで最大6000発が獲得できる可能性を秘めた夢のある台だ。
もちろん当たれば、だが。
「げ……」
「奇遇ですね、もしかしてファンになりましたか?」
「言ってろ! 気分転換だよ」
奇しくもパチンカスの魔女が遊戯を始めていた。相変わらずその隣しか空いていない。
「う〇い棒で気分転換とは……蛮勇ですねぇ」
「舐めんな、こう見えても役物突破のツキはあんだよ」
「お店の調整次第では?」
「実力と言ってほしいな」
これは『
「こんな店有利の台など、真っ向からやり合う必要などありません」
「風も巻き戻しも意味ねーぞ」
「そもそも使用後に同じ魔法を使うにはしばらく日を空ける必要があります……クールタイムというやつです」
万能じゃねぇんだなぁ。
「それに──」
「それに?」
「いろんな台があるのに一つの攻略法ではつまらないでしょう?」
妖しく口角を上げる女。まさしく決め顔である。
パチンコでなければもう少し格好がついたのかもしれない。
「もっと別のことに魔法使えよ」
「立派に労働に使ってますが?」
さいですか…………
気を取り直して貸玉ボタンを押しハンドルを回す。
最初のチェッカーを抜け、下に用意された橋や難関のプレス部分を通りメインの役物であるタコへ到達させなければならない。このどこに魔法を使うのか……
などと雑念は置いといて、1000円で早速タコまで到達した。
あとはクルクル回転しているクルーンにある穴のうち、赤い穴に入ればそこからようやく当たりの抽選なわけだ。
しかし、呆気なく外れ穴に吸い込まれてしまった。
ま……こんなもんだろ。
しかし……プレスの役物部分は毎度程よく阻んできやがる。確か台の角度とかなんとか……寝かせ、だったか? 1度に多くの球が入ってもここで妨害されてしまう。
「ふふふ……球の行く末を眺めるだけなど愚者の行為です」
「あん⁉ お前だって今までの魔法じゃ攻略できねーだろ」
不敵に笑う魔女が早速杖を取り出した。回転している役物に風は効かねーはず。時間を戻したところで意味はない。
「私はプレスまで来たすべての球をクルーンに誘います」
得意げに語る魔女に対し、正論が頭を過る。
……そもそも別の台で魔法を使った方が良いのでは?
橋を渡り、プレス役物手前まで銀球がやってきたところで魔女は小さく杖を振るう。
「魔女による攻略法その3……『
明らかにヤバい単語。それも物理的干渉なのは間違いない。
ちょっと怖いので身構える。
そして球がプレス役物を通るまさにその瞬間、
魔女のパチンコ台が、大きく揺れた。
◇ ◇ ◇
参考機種:Pうまい棒4500~10500
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます