Round 3 魔女のヒキでも確変は五分五分
なんだこいつ。
話しかけてきたぞ。
「ふふ、知りたいのでしょう? 攻略法を」
得意げに笑うコスプレ女の台は確変に突入している。
「な、なに言ってんだ。偶然だろ……」
「確かに、偶然たまたま運良く全ての玉がチェッカーに入った……と言えばそうとも言えるでしょう。そんな摩訶不思議が起こるなら是非見てみたいものです」
ドヤ顔しているが、確変は数回転で大佐登場、転落。あえなく左打ちへ戻ってきた。
「なーにが攻略法だよ。覚醒もせず即転落してんじゃねーか」
「右打ちは私自身のヒキですからね。こういうこともあります」
表情は不敵な笑みのまま。
コスプレ女はいそいそとまた大当たりを目指す。
「大体、攻略法っつうんならこの前杖振って当ててたじゃねぇの」
「あの時はお金に余裕がなかったので魔力でゴリ押ししただけのこと。美しさに欠けるので好みではありませんね」
要するにズルじゃねーか。
「今、ズルじゃねーかとでも思いましたか?」
「うっ……」
この女、心が読めるのか?
「せっかく魔法で攻略できるのなら、わざわざ美意識に欠ける力押しよりもよっぽど正攻法でしょう?」
確かに。
この女の言うことが本当に本当なら『
一万円で200回も抽選できない昨今、1000円125玉の計算で125回抽選できるということが如何にぶっ壊れているかわかるだろう。
よっぽど運が悪くない限り1万円も使わず大当たりを引けるわけだ。
ただ……普通こんだけ入賞してたら異常検知されるんじゃないのか……? まさか魔法で台の警報を止めてんのか?
とか何とか言ってたら、チェッカーへ滞りなく玉が吸い込まれている内にコスプレ女の台が再び震える。まさかと思いきや、変動が始まった瞬間、画面には虹色で彩られたセリフが大きく表示されていた。
「おっと、これは僥倖。引きもキてますね」
「ま、マジかよ……」
抽選回数を操作しているだけなら、この当たりはコスプレ女の運だ。
「ふふふ……見るがいい、これが『魔女』の実力です……!」
ドヤ顔も様になる美人に見とれていると、演出が終わり画面には「222」と数字が揃っていた。
「通常じゃねーか」
「まだです、まだ終わりません!」
わずかな出玉の後、確変かどうかの演出も呆気なく失敗。
「…………」
「…………」
台のボタンに置いている手がわずかに震えている。
「そ、そうです。魔女のヒキでも確変に入れるかどうかは五分五分ですから……おっと、今日は魔力切れです。失礼」
なんの言い訳なのか知らんが、得意気な顔で言い繕ったコスプレ女はそのままそそくさと退店した。
「なんだったんだ、結局……あ」
その後、俺の台のレバーが震えて大当たり。
負け分を取り返したことをコスプレ女は知らない。
やっぱりSANKY〇だな!
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