『地下鉄エイリアンは、お好み焼きがお好き』 具編たこ
『地球が、クレーム言ってくるわけないさ。たしかに、地球が生命体だという意見は、古くはコナン・ドイル卿のチャレンジャー教授はじめ、いまでもあるよ。それは、科学ではないと思うがね。だから、だれかが、代わりをやってるんだ。地球の中心から発信してるように見せかける、きみじゃないの?』
『まさか。利害が一致しない。やらないわ。あほらし。』
『そうかな。お好み焼き欲しさに。まあ、さすがに、ないか。それは。ならば、きみのスタッフの誰かに、疑わしいのはいないかい?』
『いないでしょ。いたら、ここまで、ついてこないわ。』
『まあ、いわば、地球さんの、スパイだよ。有りうると思うがね。』
『それは、地球人?』
『そりゃ、そうさ。宇宙から、わざわざ、来るわけがない。地球を騙る何者かさ。』
『あなたの、研究分野でしょ。』
『だから、いつも言ってるだろ。宇宙考古学は、宇宙から、地球の古い文明を探索するんだ。宇宙人を探してるのではない。』
『はいはい。ならば、地球の声も、対象でしょう。』
『む。あまり、内部は、苦手だ。そんなとこに、文明はないからね。ま、今後は、違ってくるかもしれない。だから、要するに、誰かが仕組んだんだよ。当たり前だろ。小学生でも、そう思うさ。妨害工作が有るんじゃないかい。きみの事業に反対してる連中だよ。やりかたが、子供じみてるがね。それに、いまさら。』
『反対派は、いっぱいいます。ある、自然保護団体から、某宗教団体。某カルト集団。アジア連合A。アメリカ連合B and E。南極共同体X。某世界温泉愛好家連合。』
『反対派ばかりだね。きみは、嫌われものだ。』
『新しいことには、必ず反対があります。地球の中心に到達したら、地球が壊滅するとか、信じてる人がいる。でも、巨大恐竜を、針でつつく、くらいなのに。まあ、ここまでくるのも、そんな反対ばかりだったけど、一大事はなにもおこってないわ。嫌がらせだとは思う。ただ、ちょっと、問題があってね。』
『なんだい?』
『なかに、真剣にやってる人がいる。そこに、生き甲斐を見いだしてる。あたしは、そういう人は好きだ。反対派でもね。でも、話し合いにはならないわ。むかしの、ある首相さんは、公共の場所で、反対派に、あからさまな、敵意を見せたことがあった。まあ、首相さんだって、人間だ、腹もたつ。しかし、首相さんとか、大統領とかいう立場は、反対派の首相でも、大統領でもある。それが、難しい。難しいから、首相や、大統領の仕事なんだ。あたしも、話しはきちんとしたい。しかし、やめるわけには行かないが、反対派の人を軽蔑したりはしない。』
『わかるよ。ぼくは、きれいごとだなんて、言わないよ。そういうのを、きれいごとだとして、戦争やって、反対派を殺して、平気なのもいる。きみは、きれいごとを言いながら、諦めない。一番腹が立つと、思われるタイプだね。』
『おもいっきり、けなしてない?』
『いや、賛美しつつ、けなしてる。』
夫は、半分以下になったお好み焼きを、さも、いとおしそうに、口に運ぶ。
大きめの、たこである。
・・・・・・
『地下鉄エイリアンは、お好み焼きがお好き』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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