『地下鉄エイリアンは、お好み焼きがお好き』 粉編その4


 『では、もんじゃの、セミスペシャル中と、ひろしまの小、あ、イカ焼きと、玉ねぎ入り。』


 『もんじゃのセミスペシャル中、ひろしま小、イカ焼き、玉ねぎ入りですね。こちらは?』


 『ぶたたまお好み焼き。』


 『ぶたたまお好み焼き。ですね。では、少しお待ちください、』


 ロボット店員が行ってしまうと、地下鉄エイリアンが言った。


 『もともと、もんじゃは、駄菓子として広がったわけよ。だから、安い料金でなければならなかった。文字焼きだったみたいね。子供たちが、いたずら書きをしたから。そいつを、第2次大戦後、新興サラリマンたちが、横取りしたと、いうわけ。中身は充実したけど。子供文化の収奪よ。』


 『収奪は、言いすぎだろ。応用だよ。原点も、残ったんだから。まあ、もう、300年近く前だからね。』


 『まね。でも、こうして、生き残ってる。それこそが、もんじゃや、お好み焼きの、パワーなの。民衆パワーね。高級料理ではない。しかし、強いの。』


 『きみは、ものごとを、直線的に捉えすぎだ。大抵は、錯綜し、平行し、混ぜ合わされる。』


 『それは、そうだけど、時間の流れは一本しか追えない。複数を生きることはできない。』


 『まあ、来たから、食べよう。焼こう。』


 『あいよ。』


 ロボット店員さんが、ボールに入ったねたねたのねたと、お皿に盛った具材を運んできた。


 ロボット店員さんは、いっぺんに、大量の具材や、いわゆる、汁などをはこべる。しかも、バランスを崩すことはない。


 地震があっても、落としたりしない。


 もんじゃの、汁は、最初からソースなども混ぜてあるが、お好み焼きは、後から味をつける。


 ま、しかし、どう料理しようが、結局はお客のお好みであって、自由にやればよいというのが、このふたりの持論である。


 地下鉄エイリアンは、具材を焼いたあと、両方まぜてしまった。


 『なんでも、まずは、やってみる。それが、科学の基本だもの。』


 


 

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