第2話 トラックにひかせてみよう。
私はラノベをあまり読んだことがなかった、アニメも人気作しかわからない。
なので研究した。
異世界物を読んで思うのは、みんなたまたま転生されるんだ。
異世界転生の法則を見つけなくては。
いくらなんでも、たまたまの確率に人生をかけるのは怖い。
ただの交通事故や自殺になってしまいたくない。
つまらない人生でもつまらない人生の方がましだ。
どうやろう。
誰かを実験に使うしかない。
幸い私は可愛い。
街でナンパもよくされる。男を利用するんだ。
まずは定番のトラックにひかれて実際に異世界に転生されるか確認してみよう。
同級生に一緒に帰ろうと誘えば私の魅力なら問題ない。
男なら必ず私と一緒に帰りたくなる。
そしてトラックの前に同級生を突き出してみよう。
そして目の前でひかれた同級生がどうなるか確認する。
同級生が異世界に転生されたなら、私も次のトラックにひかれたらいい。
魔の交差点が入り口になっている可能性が高いからだ。
学校の近くによく事故がおこるいわくつきの交差点がある。オカルト好きからは魔の交差点ってベタな名前がつけられたあの交差点を使おう。
そこで一緒に帰ってる同級生をひいてもらおう。
ーーー次の日
『一緒に帰ろうよ。』
同じ帰り道の男子を誘った。
クラスメートの目が一気に集中するが気にしない。
もちろん事前に少し話を振っておいた。
男子は私に誘われて有頂天だ。
『駅の近くの本屋行ったことあるんだよね、案内してほしいの。』
私の誘いを断る男はいない。
神様、パパ、ママ可愛く生んでくれてありがとう。
一緒に帰っているときに何かラノベの話をしていたが頭に入ってこない
私の頭の中は異世界転生のことでいっぱいだからだ。
もう少しで答えがでる。
よくあるトラックにひかれたときにどうなるか。
興奮して横に歩いている同級生を見つめてしまう。
あなたの命はあとすこしだよ。
口角が自然に上がっていくのがわかる。
「そこの交差点渡ったら目的の本屋早いよ。」
『そうなんだ、さすが詳しいね。』
ほんとは知っている。この道を選ぶことも全部予想して誘っているんだ。
自分の演技力の高さに自分でも驚く。
もう少しだ。
もう少しで交差点。
トラックがこない。
『ちょっと待って。』
トラックがこなかったら意味がない。
私は靴ひもを結ぶふりをして時間をかせいだ。
奇跡のようにこのタイミングでトラックがきた。
神様も味方してくれている。
これは間違いなく異世界転生の合図だ。
そうでなければこんなタイミングよくトラックが来るわけがない。
ドンッ
思い切り道路に同級生を突き飛ばす。
名前もない同級生は完璧なタイミングでトラックにひかれてくれた。
人間がここまで吹き飛ぶとは思わなかった。
同級生は吹き飛んだ先でピクリともしない。
特に血も流れていないのにまったく動かない。
異世界に転生される兆候はあるのだろうか。
私はかけよる。
じっくり観察してみる。
何も起こらなかった。
肉体が消えたり、神様の声が聞こえたり、不思議な現象は何も起きていない。
このトラックではこの交差点では転生できないのだろうか。
これではただの交通事故だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます