第129話 「短歌」➅

深いしわ 祖母の手を見て 「傷だらけ!」 叫んだ吾子に 寂しい笑顔

「傷だらけ!」 いづれは我も そうなると 心に刻み 23年


きゅうり漬け 先祖代々 継いだ樽 亡き祖母の味 もう食べられず


あの家は 陽炎のよに 消えるだろ 墓も閉じられ 全てを失くし


盆供養 先祖の御霊みたま 迷わぬか? この世に帰る 住まいもなくて


いつの日か 我の命も 朽ち果てて 先祖となりて 子孫を守る


いづれ死す 理のなか 生きるから 君は何をし 何に喜ぶ?  


 今回は、いづれ消えゆく実家に想いを馳せて短歌を作りました。

 実は、うちの実家のきゅうりの漬物って、ものすごく塩っ辛いの。

 戦後に作ったのか、戦前からあるのかわからないけれど、大きな樽にきゅうりを漬けるんだけど、樽から出して直ぐには食べられない。


 流水で塩を抜いてから食べますが、正直言って美味しいのか美味しくないのかよく分からない(笑)


 でもそれが、先祖代々の味だったのです。

 今は、その樽はないので(梅ちゃん継がず、私も実家を離れたので)もう、一生食べられないんですよね。


 くぅ、寂しい。


 月猫散文ノート☆彡



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