祈り

 お母さんを守りたい。


 みんなの役に立ちたい。


 呪いに苦しむ人々を救ってあげたい。


 リンは様々な願いを実現するために呪術師となった。


 程度の低いものを含めれば優に千人以上は呪いから救っている。


 だが救った手法もまた呪いだった。


 病人が元気になるように祈るよりも、病魔を呪い殺した方が確実だからだ。


 大事なのは過程ではない。


 結果だ。


 同じ願いなら成功率の高い方法を選ぶべきなのである。


 しかしリンは祈った。メルの背にしがみつき、星の見えない闇夜を飛びながら。

 

 どうか。私の予想が外れていますように。

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