潜入
それから1日後、何度もシュミレーションし伯爵や傭兵団の動き方を調べ上げ、過去の行動も調べ尽くした。
過去の行動を調べたのには、相手の弱点となり得るものを探すことと相手が何かしら罪を犯していれば殺すことに理由ができるからだ。
後者の方が理由としては強いけど。
罪を犯していれば殺すことを正当化できる。
結局のところ僕は逃げたいだけなのだ。
自分が殺すのは命令されて仕方なくで、相手に殺される理由があるから殺した。
そういう逃げ道を作って置いて自分を正当化したいだけ。
そんな理由で探っていたんだけど、出るわ出るわで正直ビビってる。
伯爵は数年前に帝都からの帰還中に魔物に襲撃され、その後から武力に異常に固執するようになり、領内の戦力となる男達を招集し訓練を受けさせている。
そのせいで男手が足りずに子供を奴隷として売りに出すことも増えたみたい。
更には、力あるものが正義として傭兵団の強姦・強盗・殺人などの犯罪を揉み消すようになっている。
周辺貴族も取り込んで裏で誘拐や売春などの斡旋もおこなってるみたい。
やってること悪の親玉すぎるでしょ。
わざわざ暗殺しなくてもその内クーデターとか起きそう。
まぁ、それがないように傭兵団とかを抱えているんだろうけど。
―――――――――――――――――――――――
その日の夜、僕は仕事を決行するために伯爵邸の付近の森でしゃがんでいた。
「よし、じゃあやろう」
一言気合いを入れ、手持ちの武器を確認する。
愛用の刀にナイフ、さらに各種暗器。
一通り確認し終えた僕は行動を開始した。
「
僕は魔術を展開し、自分自身の存在を世界の認識から外した。
これで特殊な場合を除いて、誰も僕を認識できない。
僕はそのまま森を出て伯爵邸の邸壁の前に立つ。
以前からの調査で最も警備が薄くなっている場所だ。
邸壁の高さは約10メートル。
垂直で突起等も少なく、侵入経路としては最も向かない場所。
しかも素材は見た感じ石材にマナタイト鉱石が混ぜられているみたいだ。
マナタイト鉱石はエネルギーの吸収率が高く、通常では魔法師の杖とかに使われる鉱石だ。
こんなふうに壁に壁に混ぜるなんてのは普通しない。
確かにマナタイト鉱石を混ぜることにより、通常のものよりもエネルギーに対しての優位性を高められる、けど高すぎる。
どんなことを想定しているのかはわからないけど、城壁としては一級品だ。
ここは一貴族のお屋敷なはずなんだけど。
そんな所だから警備も薄くなってるんだと思う。
僕は魔術手装を付けて壁に触れる。
込められている術式は吸着。
エネルギーを手に吸い付くように変質させるものだ。
マナタイトを含む壁はエネルギーを多く含んでいるため、僕のエネルギーを使用しなくても術式を発動できる。
そのまま壁をよじ登り、邸園へと侵入する。
邸園内には調査通りの配置で傭兵団や騎士が警備している。
慎重にその間をくぐり抜け、再び壁を登る。
三階の目的の部屋まで辿りつくと窓を開けて中に入る――――。
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