激闘の後
僕は目を覚ました。
どれくらいの時間がたったのだろう。
最初にそんなことを思った。
あのロードを倒した後で達成感なんかよりも先に、当たり前に時間を気にしてしまった。
まぁなんにせよ早く戻らないと。
僕は立とうとして崩れ落ちた。
そうだった、ロードに足持っていかれたんだった。
僕は自分の足に目を向けるとそのグロさにちょっとびっくりした。
ぐちゃぐちゃ。
その表現が1番あっていると思う。
すごく痛いけど、それが生きてるって実感させてくれる。
傷を見て実感するのもおかしいけれど、ここで僕は初めてロードに勝ったのだと実感した。
「
回復の術式を唱える。
僕の術じゃ痛みを和らげることくらいしか出来ないけど、ないよりはマシだ。
僕は落ちていたゴブリンの棍棒を当て木にして足を固定した。
ズルズルと引きずりながら歩く。
いつか聞いた物語の主人公ならここでお助けキャラが登場するだけどな。
ありえないことを考えながら僕は歩く。
中央庁までは約1日。
怪我のない状態でそれくらいだから、今の状態だと2、3日かかるかもしれない。
あまり時間をかけている場合じゃない。
僕は一筋の線を大地に描きながら歩いていく。
まるであの日に今までずっと掴まれているかのように――。
激痛に耐えながら歩き続けて、僕は街についた。
アルムの街。
貿易の中継都市としてそこそこ栄えている街だ。
僕はゴブリン討伐に行く時にもこの街に1度立ち寄っている。
衛兵に怪訝な顔をされながらも足を引きずり街に入る。
「あっ、そうだ。今日は何日ですか?」
僕は衛兵に尋ねる。
「は?えっと今日は10月21日ですが、、、。」
更に怪訝な顔をされながら教えてくれた。
僕がこの街を出たのが20日の朝だから、丸一日くらい寝ていたことになる。
秋の時期で助かった。
これが冬だったら寝ているうちに凍死していたことだろう。
本当に奇跡的だ。
僕はアルムの街で回復薬を購入し、足にぶっかける。
これで少しはマシになるだろう。
本当にゆっくりしている時間はない。
中央庁から言われた期限は5日。
これを破ればあいつらは僕との契約はなしになってあいつがやばい。
僕はまた歩き出す。
自分を飼っている奴らのところへ――。
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