強敵との決着
「一刀龍水斬術・居合-雫-」
俺は剣を振るう。
ロードの攻撃に合わせて懐に入り込み振り抜く。
ズシャッ!
鈍い音が響き、手には重い感覚。
「はぁはぁ」
知らないうちに呼吸すら忘れていたらしい。
疲弊した体に酸素を送り込むために大きく息をする。
ズルッ、ロードの巨体から剣を抜く。
もう一撃。
確実に
振りかぶった剣を振り下ろそうとした時、視界が暗転した。
もうとっくに限界だった。
死と隣合わせの状況で感情をしまいこむのはかなり体力を消耗するみたいだ。
ガクッと俺は崩れ落ち膝をつく。
ズズッ。
どこからか音がなる。
ズズッズズッ。
どこからだ?どこからなってる?
ズズッズッズルッ。
まさか、ロード?
僕はロードに目を向ける。
少し、ほんとに少しづつだけどロードが動いてる。
ありえない。
あんなに深く切ったのに、まだ動くなんてありえない。
「うそでしょ」
僕にはもう立つ気力さえ残ってない。
さっきまでだってほんとに僕が戦っていたのか分からないくらいに無我夢中だったのに、もう一度戦うなんてできっこない。
ほんとにやばい。
ロードと目があった。
その目は怒りに満ちていたが同時に喜こんでいるようにも見えた。
自分に傷をつけた僕をなぶり殺しにできるからだろう。
ロードはニンマリと笑い手を上げる。
瞬間、
ドクンッ!
心臓が鳴った。
その音で僕はハッとする。
ここでやられたら意味がない。
僕は自分に持てる全ての力を振り絞り、地面に手をついた。
「浸透」
自分の能力を発動する。
徐々に地面に僕のエネルギーを浸透させていく。
ロードが僕の足を殴る。
グシャッと鈍い音。
凄まじい痛みに耐えながら僕はエネルギーを浸透させる。
もっと早く、もっと広く。
ロードが無抵抗の僕を笑いながらいたぶる。
そしてロードがトドメを誘うと拳を振り下ろす瞬間――。
僕は大地を掌握した。
「浸透-裂-」
僕は掌握した大地をふたつに裂いた。
流し込んだエネルギーを操作し大地に亀裂を生み出したのだ。
完全に裂くまではいかなかったが、ロードの重量は亀裂を大きくするには十分すぎた。
凄まじまい轟音を立てながら大地に飲み込まれていくロード。
そこで僕の浸透させたエネルギーが底をついた。
掌握していた大地が世界に戻り、元に戻ろうとする修正力修正力によって亀裂は塞がる。
ロードは元に戻った大地によって押しつぶされた。
「はぁはぁ、あぶな、かった。はぁ、もう少しでも、遅かったらやられてた。」
僕が掌握した大地は半径5m。
僕が巻き込まれないギリギリのところにロードがいたから何とか倒せた。
もう少しロードが近かったら、もう少し浸透が遅れていたら、僕は死んでいただろう。
ほんとに奇跡としか言いようがない勝利だった。
僕はそこで全てを使い果たして気を失った――。
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