現在………牢獄

桜木杏奈の赤子の魂の回収に行かなければ、俺は今もローズと向き合えていた。


結局、俺は、起きてしまっていた。


ローズへの申し訳なさが、溢れてくる。


ブタが言ったように、14日間でけじめをつけようと思ったんだ。


きちんと、ケリをつけてローズと向き合い結婚する。


そう、決めた14日間だった。


「リゼ、どうして?」


「ローズ」


格子の向こうから、ローズは手を伸ばしてきた。


「すまない」


「私を愛していなかったの?」


「ローズといると笑顔になるんだ」


「それだけ…?」


「すまない…この600年。それが、愛だと思っていた」


「リゼ、私。リゼと生きていきたかったのよ」


「すまない」


「ローズ、向こうへ行きなさい」


「待って、リゼと…。まだ、話したいの」


ローズは、番人達に連れて行かれた。


「リゼ」


「ルシア様」


「どうして、このような事をしたのだ?」


「俺のせいで、彼女が…。だから、気づくと体が動いていたんです」


「死神のタブーは、何かわかっているね?」


「はい!自殺です」


「リゼは、自殺したんだ!わかってるね?」


「はい、わかっています」


ルシア様は、俺を見つめていた。


「残念だよ!リゼは、こちら側にやってくる存在だと思っていたから…」


「すみません」


「兎に角、判決が下るまでは、そこにいなさい」


「はい」


ルシア様は、いなくなった。


あの日、俺は桜木杏奈を助ける為だとしても、自らの意志で飛び降りたのだ。


死神のタブーを犯したのだ。


「なあ?何でだ」


ルカは、煙草に火をつける。


「こっちこい」


俺に、煙草を吸わせてくれる。


「リゼ、何でだ?」


「すまない」


「謝られても困るんだよ」


俺の口から煙草を取って、消した。


「ルカ、600年間ありがとう」


「お別れいってんじゃねーよ」


ルカが、泣いている。


【言った筈だ!忘れろと…】


「ブタ、ルカをよろしくな」


「ふざけるな!リゼがいないと俺は……」


「ルカには、新しいバディがすぐに見つかる」


ルカは、頭を抱えていた。


「勝手な事ばっかり言ってんなよ!リゼ」


ガンッ…。格子を叩いて立ち上がった。


【桜木杏奈は、目覚めた】


「よかった!ありがとう、ブタ」


【リゼ、抹消されるのは怖くないのか?】


「杏奈を助けられたなら、よかったよ」


【何故、そこまで?】


「わからない。ただ、ここが音を叩いていたからだ」


【リゼ、悲しいよ!】


ブタは、そう言って去っていった。


俺は、胸を三回叩いた。


俺が、何故、桜木杏奈を助けたのか…。


その14日間を話そう!


胸を三回叩くと、現れた白い玉。


それに、触れるといっきに14日間の日々の映像が俺の頭を流れ込んでくる。

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死を望む君に捧げるI LOVE YOUー死神の恋ー【仮】 三愛紫月 @shizuki-r

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