ローズとお肉
「リゼ、食べよう」
「うん!いいよ」
「いただきます」
普通にお肉を食べた。
気にせず、お肉を食べた。
しかし、何故かローズはニコニコしている。
「どうした?」
「私達ってさ!キスする?」
「ゴホッ、ゲホッ」
俺は、ゴリラのように胸を叩いた。
「どうしたの?リゼ」
「するわけないだろ?何で、急に」
その言葉に、ローズはお肉を口に運ぶのをやめた。
「どうした?食べないのか?」
「いらないわ!お腹、いっぱい」
そこに、ルカが現れた。
「ルカ、あげる」
「マジで!やったー」
嬉しそうに、ルカはフライドチキンにかぶり付いた。
「ローズ」
「また、ご飯食べようね」
ローズは、手を振っていなくなった!
「何で、いらなかったんだ?」
「知らない」
「こんなうまいのにな!」
卒業した日に、白い制服は黒いスーツに変わった。
「お肉を女性と食べるのは、おかしいのか?」
「さあ?しらねー」
ルカは、そう言ってバクバク食べていた。
この日から、ローズは業務連絡のようなやり取りしかしてくれなくなった。
「ローズ、ザリガニなんだけど」
「ごめん、ビオラが呼んでるから」
次の日も、「ローズ、ゴキブリなんだけど」
「ごめん、ビオラと図書室に」
来る日も、来る日も、ローズに交わされ続けた。
そして、550年が経ったのだ。
「何なんだよ!もう」
食堂で、ご飯を食べてる俺の隣にバリーが座った。
「なあ?ルビーに、お肉に誘われたんだ!」
「お肉?お肉って何だよ」
「食い付き過ぎだし、リゼ」
「だから、お肉に誘われたらそんなに嬉しいのか?」
「あったりまえだろ!死神の女性がお肉って言ったら、付き合ってくださいって意味なんだからよ!」
「えええーー」
驚いて、食堂に響き渡る声を出していた。
「何だよ!リゼ。うるさいな」
「本当か?それ?」
「本当だよ」
「じゃあ、男はどうやって言えばいいんだ?」
「お肉食べるか誘えば一発でわかる!お肉食べませんか?って言ってみ」
バリーに言われて、俺は食器を下げる。
「またな、バリー」
「ああ」
走って、ローズの元に行った!
「あの、ローズ」
「何?」
「お肉、食べませんか?」
効果音をつけるなら、キラリンって感じだろうか?俺は、前髪を触って言った。
ローズは、そんな俺を睨み付ける。
「食べない」
そう言って、いなくなった。
次の日も…「お肉、食べませんか?」
「食べない」
えっ?何でだ!
次の日も…
「お肉、食べませんか?」
「食べない」
俺は、結局20年間断られ続けた。
「ルカ、おかしくないか?」
「お肉食べなかったじゃん!あの日もローズ」
「聞いてた?俺の話?」
「お肉は、付き合うだっけ?付き合うって何?」
「だから、バリーとルビーみたいな」
「あー。ナニする関係だっけ?」
「違うわ」
ルカの恋愛偏差値は、俺と同じで0に毛がはえたぐらいだった。
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