死神学校⑥
「ルカ、はい」
「ありがとう」
ルカは、この日果物を初めて食べた!
「酸っぱぁー。けど、あまー。何か、気に入った」
「よかったね」
ゴクゴク、あっという間に飲み干した。
「早いね」
「おかわり、もらってくる」
「うん」
ルカは、走っておかわりをもらいに行っていた。
僕が死んだ日も、誰かに赤ちゃんが…。
僕が、両親を殺した日も…
そう考えると、生きるのは少しだけ怖いものなんだと思った。
「見てこれ!ビックサイズ」
「凄いね」
ルカは、大きめのジュースを飲んでいた。
僕は、この日、死神になってよかったと強く思ったんだ。
僕が生き、誰かが死ぬのは何か違うと思ったから!
あっという間に、1日は過ぎた。
次の日からは、魂の回収の実践が始まった。
「おはようございます」
「おはようございます」
マイク先生は、小瓶を差し出す。
「では、行きましょう」
そう言って、連れてこられたのは病院だった。
「こちらは、ルークです」
「宜しく」
「彼は、私のバーーディです。彼が今から魂を取り出します。リゼ、ビオラ、よく見ていなさい」
そう言うと、眠っているお婆さんの胸の辺りに手を入れる。ググっと下まで、手を下げると何かがゆっくり現れた。
魂ってやつだ!
マイク先生の手にわたると
小瓶に入れて、蓋をされた。
中で、全く同じ姿のお婆さんが寝ている。
サイズが違うだけだ!
「では、実践です」
お婆さんは、死んだのだけれど…。
ルーク先生が、瓶から取り出すと元のサイズに戻った!
さっきと同じやり方で、戻された。
生き返ったでは、ないか!
「はい、じゃあ!リゼとルカ」
「はい」
僕は、言われた通りにやるけれど、鰻のようにヌルヌルとして掴めない。
「落ち着いて、こうして」
何度やっても、無理だ!
ローズとビオラも同じだった。
結局、今日の授業は終わりを向かえた。
お婆さんの寿命は、1日延びたのだ。
今では、有り得ないけれどこの時の僕達は、お婆さんの魂を掴むのに、人間界で言う時間では10年間かかったのだ。
こっちの時間では、一年だったけれど…。
お婆さんは、10年も寿命が延びたのだ。
兎に角、この日からは毎日毎日、お婆さんの魂を掴まえに行った!
そして、卒業式を向かえた。
僕達は、Cフォンを渡された。
晴れて死神デビューが、始まった。
のだけれど……。
一人立ちするまでの、僕らの仕事は虫の寿命を掴まえに行く事から始まったのだ。
僕は、死神学校を卒業してから俺と呼ぶようになっていた。
虫の寿命を取りに行った話しは、また後にして、ローズとのお肉を食べる約束をした話しをしよう。
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