第2話
朝議は速やかに開かれた。景帝の顔は
帝の下問するに及んで漸く返奏したのは丞相曹陳だった。曰く、天に時あり、命に運あり、一戦の勝敗は未だ王朝の盛衰を決するに足らず。いま劉将軍の兵を甘州城に
景帝の表情は晴れなかった。竜顔の色を窺い、すかさず大なる濁声で並み居る重臣どもを驚かせたのは中書令に任じられたばかりの陸湛慶である。
見損なったり、劉将軍。ほとんど叫ぶほどの調子で中書令は言った。敵に倍する兵力を与えられておき乍ら大敗を喫し、臆病にも城内へ逃げ込もうとは。
百歩譲って、一度の敗北ならば責も
援軍の請に応えるか否か。割れた
結句、増援の出兵は見送られた。だがひとまずにせよ劉将軍が敗戦の責で断罪されずに済んだのは、重臣たちのせめてもの良心と云えるかも知れない。累が将軍の両親や妻子にまで及ぶことも免れた。
※ 王朝により中国の官職名には異同があるが、ここでは丞相は皇帝補佐に相当し、人臣として最高位の役職。中書令は、それより二段ほど格が下る。(あくまで、この物語上の設定)
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