第八話 罪

それから、数日が経ちました。


大蛇は、山の奥深くにいました。


どぐろを巻き、体をできるだけ、小さく縮め、じっとしていました。

大蛇は反省していたのです。


よく考えたら、大蛇の村への訪問は、村の人々にとって恐ろしいものだったということに気づいたのです。


自分は人食い大蛇なのだから。


子供だって泣いてしまうでしょう。


大蛇は頭を抱えました。


そうしていると、大蛇の耳に、いつもとは違う音が聞こえました。


それは人間の足音でした。


少年が来た!


大蛇は胸を躍らせました。


足音のほうに向かって、全力で這いました。


そこにいたのは、やはり少年でした。


大蛇は最初喜びに包まれました。


しかしその喜びは次の瞬間消え去りました。


「なぜ俺の子どもを殺した!」


少年は怒っていました。


大蛇は最初、意味が分かりませんでした。


しかし少年の怒りに任せた暴言を聞くうちに、自分が罪を犯したことがわかりました。


大蛇がしっぽで打った子供は死んでいて、しかもその子は、少年の子供だったのです。

大蛇は謝りました。


しかし、少年は、許しませんでした。


こぶしをたたきつけ、暴言を吐き、日の沈むまで喚き散らしました。


大蛇は、その少年の様を、ただ見ているしかありませんでした。


少年は最後に


「お前なんかとはもう友達じゃない」


と言って去りました。


大蛇は悲しみました。


悲しみに暮れていると、少年と遊んだ日々を思い出しました。


大蛇にとって、一番楽しい時間。


それがもう戻ってこないとわかり、大蛇の心に、鋭い痛みが走りました。


何時間か経ち、夜が濃くなっていくころ、大蛇は一つの決心をしました。

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