第五話 取引
山神様は、大蛇が住む山に住む、神でした。
山の奥深くに住み、その身体はとても大きく、大蛇が大きく首を伸ばしても、顔が見えないほどでした。
彼は、全知全能でした。
何でも知っていて、どんなことでもできました。
大蛇は、そんな彼に、少年の願いを叶えてもらおうと思いました。
山の奥深くに、大蛇はたどり着きました。
大蛇は山神様に、少年の願いを叶えて欲しいとお願いしました。
「願いを叶えてあげることはできる。ただし、条件がある」
と山神様は言いました。
その条件とは、大蛇の鱗を一枚あげることでした。
大蛇にとっての鱗は、大蛇の力の源でした。
一つでも失えば、大蛇は力を大きく失います。
しかし大蛇は、取引に応じました。
彼は力よりも、友達を選んだのでした。
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