〈認知症世界を思い描く〉

 筧裕介著『認知症世界の歩き方――認知症のある人の頭のなかをのぞいてみたら?』を読んだ。


「本人の視点から生活の困りごとの背景にある理由を知れば、どうやって認知症とともに生きられるか工夫できる」と、イラストいっぱいの良書である。


◇認知症のある人が生きている世界がわかる13のストーリー


〈記憶のトラブル〉

①ミステリーバス:自分のしたことを忘れてしまうのは、なぜ?

②ホワイトアウト渓谷:同じものを何度も買ってきてしまうのは、なぜ?

③アルキタイヒルズ:あてもなく街を歩き回ってしまうのは、なぜ?

④創作ダイニングやばゐ亭:言語の意味がわからなくなるのは、なぜ?


〈五感のトラブル〉

⑤顔無し族の村:人の顔がわからなくなるのは、なぜ?

⑥サッカク砂漠:歩くのが怖くなってしまうのは、なぜ?

⑦七変化温泉:大好きだったお風呂を嫌がるのは、なぜ?

⑧パレイドリアの森:急に驚いたり不思議な行動をとるのは、なぜ?

〈時間・空間のトラブル〉

⑨トキシラズ宮殿:コンロの火を消し忘れてしまうのは、なぜ?

⑩服の袖トンネル:同じ服ばかり着たがるのは、なぜ?

11二次元銀座商店街:地図があっても迷子になるのは、なぜ?


〈注意・手続きのトラブル〉

12カクテルバーDANBO:人の話を集中して聞けないのは、なぜ?

13カイケイの壁:レジですごく時間がかかるのは、なぜ?


◇認知症とともに幸せに生きる未来を作れるように

 筧裕介氏は語る。

「病を診て症状に対処する医療・介護視点のアプローチでなく、人を見て生活をともにつくりなおす。そんな視点からできるアプローチもあるはずです」と。

 そして……。

「自分と自分の大切な人との生活をともにつくっていく手引きになれば幸いです」と結ぶ。

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