第3話


 こんにちは。俺は、森橋愛蓮。女子っぽいものが嫌いだから、男装している。高校の制服も男子のを着ているし、私服も男ものだ。みんな、そんな俺を変わってるって言う。トランスジェンダーではない。俺は、女子っぽいものが嫌いだから、男装をしているに過ぎない。つまり、異性装者だ。これをクロスドレッサーと言うらしい。LGBTの仲間だそうだ。

 もう1つ、みんなと違うところがある。アトピー性皮膚炎であること。アトピー性皮膚炎を分かりやすく言うと、皮膚がボツボツ、ガサガサになったり治ったりを繰り返す、アレルギーを起こしやすい体質だったりする人のことらしい。俺は、赤くなったり皮膚が剥けやすかったりもする。夏には汗疹で酷くなる場合もある。

 そんな俺は、みんなから嫌われている。小学校1年生のとき、「肌ボロボロで気持ち悪い」と言われた。「森橋菌」と言い、少しでも俺のものに触れるとすぐにそこを洗ったり、人に付けていた。わざと俺の物を奪って、他人の机に置き、森橋菌が付いたと騒がれることもあった。男子も女子も関係なく、そんなことをしていた。男装だってそうだ。よく「男女」「気持ち悪い」「人と違う」と言われ、避けられ、いじめられてきた。先生に相談しても、何もしてもらえなかった。「貴方が何かしたんじゃない」とも言われた。それどころか、先生すらいじめてきていた。無視したり、俺の物だけ端を持って渡したり、わざと「森橋さん。いや、森橋くん。」と言ってきたりと、人と違うと、おかしいと示された。

 そんな中でも、俺と一緒に居てくれる人たちがいた。岩西竜也、深道燿、眞田涼平だ。言い返したり、止めろと言ったりするわけじゃない。いわゆる、傍観者だ。だけど、ただの傍観者ではなかっか。どんな時でも、一緒に居てくれた。いじめられて避けられているときでも、いじめっ子に「そいつと居るの止めなよ」と言われても、「森橋菌が付くぞ」と言われても一緒に居てくれた。話しかけてくれた。小学校1年生からだけど、幼馴染と言えるほどの仲で、ずっと一緒にいた。それは、中学校でも、変わらなかった。そう、さらっと言ったが中学校でも一緒にいた、いじめもされたのだ。それは、小学校では無かった部活動でも。

 部活動は、吹奏楽部に入った。もともとクラリネットを習っていた為、そのままの流れで入部した。楽器も自分のを持っていた為クラリネットになり、同じパートの同級生は俺含め4人だった。この同じパートの3人が主犯格だった。とにかく無視し、イライラしていれば罵倒し、先生に気に入られて怒られないようにし、楽譜を分けるときのパートも俺一人にしていた。後輩が入ってくると、世話を押し付けて、自分が気に入らないと罵倒してくる。しかも、幼馴染とは違う部活だった。岩西はバスケ部、深道はダンス部、眞田は科学部で、3人がいなければ無論1人だった。1人なんて、慣れているはずなのに。なのに、何故か、辛かった。それぐらい、3人が一緒に居てくれたことは、大きかったと知ることになった。

 今思えば、中学校では、3人と一緒に居るときにはいじめられなていなかった。3人は、タイプが違えとイケメンで女子にキャーキャー言われるほどだったし、男子も仲良くしていれば都合が良かったのだろう。だから、いい顔をする為に3人の前でいじめてくることは無かった。


 だからと言って、いじめがなくなることはなく、小学校、中学校を卒業していた。

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