第255話 結果発表
「さあ、大変お待たせしました。ただいまより、第1回カレー料理大会の結果発表をおこないます!」
「「「おおおおおおお~!!」」」
ものすごい歓声である。時刻は夕方、まだ日が落ちる前になんとか投票の集計が終わった。いよいよ結果発表の時である。
「今回このイーストビレッジキャンプ場で初めての試みとなる料理大会ですが、総勢10チームものチームが参加してくれました。また、来場してくださった審査員の皆さまの数もとても多く、これまでで一番大勢のお客さまを迎えることができました。本当にありがとうございます。どのチームが作ってくれたカレーもとてもおいしく、様々な工夫がされており――」
「ええい、そういうのはいいから、さっさと発表したらどうだ!」
「そうじゃ、早くするのじゃ! まあ、妾たちのカレーが一番なのは決まっておるのじゃがな!」
……俺が発表の前の前フリをしているとダルガとサンドラからヤジが飛んできた。まあ、あいつらの言う通り、こういうのはもういいか。
それに発表までは酒を飲むのは禁止にしていたからな。みんなもそろそろ酒を自由に飲みたくてたまらないのだろう。
「……ええ~大変失礼しました。それでは早速結果発表といきましょう! まずは第3位からの発表となります!」
「「「おおおおおおお~!!」」」
再び大歓声が上がる。みんないよいよ結果発表ということで、だいぶ盛り上がっているようだ。
「第3位は……ドワーフチームのオーガスの実のカレーです!」
「「「おおおおおおお~!!」」」
「いよっしゃあ!」
「おお、やったぞ!」
「やったっす!」
大きな歓声が上がり、ダルガたちドワーフのみんなが肩を抱き合って喜んでいる。
「それでは代表者の方、前へどうぞ」
「ほれ、行ってこいライオ」
「いやあ、本当によくやってくれたわい!」
「おかげで最高の酒にありつけるぞ!」
「おっ、押忍!」
メインの調理を担当していたダルガの元弟子のライオがこちらへとやってくる。
「それではこちらが第3位の賞品となります。チーム全員分のチケットが入っておりますので、後ほど一緒に入っているリストからそれぞれお選びくださいね」
「押忍! ありがとうございます!」
賞品の入ったチケットはドワーフチーム10人の分が入っている。後ほどこのリストに書いてある賞品の中から気に入ったものを選んでもらうことになっている。
賞品の内容はお酒にケーキ、漫画にフライングディスクなどの遊具、このキャンプ場の温泉にあるシャンプーやリンスなどの美容品、寝袋や調理器具などのキャンプギアの中から自分の好きなものを選んでもらうことにした。
このキャンプ場に訪れてくれるお客さんの一番欲しいものはそれぞれ違うからな。賞品は1~3位までのチームに送られ、順位が高いほど多くの賞品がもらえるようになっている。
また、賞品の量については金額をベースにした。3位だったら、だいたい1人5000円分、2位は10000円分、1位は15000円分といった形だ。キャンプギアとかだと少し高めのものがあるから、多少は前後しても良いことにしている。
今回の大会についてはキャンプ場の利益はない。審査員としての参加費や飲み物の利益なんかは賞品の購入金額に当てられ、余った分は参加チームの材料費に上乗せして渡す予定だ。多分どのチームも試作などを含めたら、こちらが渡した材料費を超えた金額になっているだろうからな。
これでキャンプ場に来てくれるお客さんが料理に興味を持ってくれれば嬉しいし、俺もこの世界のみんなが作ったカレーを食べることができて大満足だったぞ。
「ふ~む、それにしても3位か。もっと上でも良かったんじゃがのう」
「うむ。残念ながら1位は逃したか……」
セオドさんとアーロさんは残念がっているが、個人的にはこの激辛カレーが3位に入ったことには結構驚いている。どうしても、人を選んでしまう味だったからな。
今回参加したチームのカレーはどれも本当にレベルが高かった。そのため、票が多くのチームに分散し、その中でも特色があった激辛カレーに票が集まったのだろうと分析している。正直に言って、ハイレベルなカレーが少なかったら、票が割れず3位に入ることができなかったのではと思っている。
「それではこちらのカレーに投票をしてくれた人たちの感想になります」
投票用紙にはどのチームのカレーが一番おいしかったかと、そのカレーについての感想を書いてもらっている。
「『とても辛いカレーだが、とてもあとを引く味になっていた』、『始めは赤い色に驚いたが、食べてみると辛くておいしかった』、『これくらいの辛さが丁度よくてうまかった』以上となります。それでは大きな拍手をお願いします」
パチパチパチ
今回は意外と辛いも好きなお客さんが多かったようだ。特に最後の感想のあの辛さが丁度いいとはなかなかの辛党だよな。
ドワーフチームとは反対の甘いフルーツカレーを出していたゴートさんたちのチームは残念ながら選外となった。激辛カレーと同様にとても特徴的だったのだが、今回キャンプ場に来てくれたお客さんの多くは男性というのもドワーフチームが3位に入った要因のひとつだろう。
このキャンプ場に来てくれる女性のお客さんは甘いもの好きが多かったから、女性だけの票を取ればきっと入賞していたと思うぞ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます