第247話 参加者続々と
「ユウスケ、なにやら面白そうなことをするらしいのう! もちろん妾も参加するのじゃ!」
「いらっしゃい、サンドラ。おお、ぜひ参加してくれよな」
今日は週末、いつものように古代竜であるサンドラがキャンプ場に来てくれた。
「でもサンドラって料理とかできるのか? あんまり料理をするイメージがないけれど」
今は幼い少女の姿をしているサンドラだが、実際の姿は体長が何メートルもあるドラゴンの姿をしている。普段はあの大きさのドラゴンなので、料理なんかをするイメージがまったくわかない。
なんならこのキャンプ場に来ているお客さんの中で一番料理をしない印象なんだけれどな。
「うっ……それはじゃな! どうすればいいのじゃ……」
「………………」
先ほどまでのテンションから一転、一気にオロオロしだすサンドラ。どうやらノリで参加すると言っただけで、その辺りはノープランのようだ。
「あれだ、この前言っていた友達とかは料理できないのか?」
「う~む、あやつも多分料理なんかしないと思うのじゃ。それにこの前あやつへ会いに行ったら、まだ寝ておったからのう……まだ当分の間は起きんじゃろうな……」
以前にサンドラは友達をキャンプ場に連れてくると言っていたが、どうやらその友達とやらはよっぽどの寝坊助さんらしい。
「まあ、普通に審査する側として参加すればいいと思うぞ。その場合なら、みんなが作ってくれたカレーをたくさん食べられるからな」
料理大会の当日に来てくれたお客様には審査員となってもらい、参加者が作ってくれたカレーを食べることができる。何組参加するかはまだ分からないが、すでに何組かのお客さんが参加を表明してくれているから、当日は結構な参加者がいると予想される。
そのため、それぞれの参加者のカレーは普通の人なら一口くらいしか食べられないが、サンドラならそれぞれの参加者のカレーを一人前食べても大丈夫そうだ。普通に審査員として楽しむのも十分に楽しめると思う。
「うう……妾も参加したかったのじゃ……」
う~む、しょんぼりとしているサンドラが少し可哀そうだが、こればっかりはなあ……主催者側の俺やサリアがサンドラとチームを組んであげるわけにもいかないし、どうしたものかな……
「話は聞いたぜ! サンドラさん、俺たちとチームを組まねえか!」
「あっ、ランドさん」
いつの間にかそこには犬獣人冒険者のランドさん、それにバーナルさんが来ていた。サンドラがハンモックを張っている場所はキャンプ場の端の方だが、いつも週末の同じ時間に来ているから、わざわざサンドラと話をしに来てくれたんだろうな。
「ランド、バーナル……妾は料理が全然できないのじゃが、良いのか?」
「ああ、せっかくのお祭りだし、みんなで楽しもう。俺たちは普段の野営とかで料理をしているから、多少なら料理はできる」
「まあ、そこまでこったものは作れねえけれどな。カレーはさすがに作ったことはねえが、そんなに難しい料理じゃねえんだろ、ユウスケさん?」
「ああ。野菜を切って炒めて、カレールーを加えて煮込むだけだから、そんなに難しい料理じゃないぞ。どちらかというと、そのカレーに何かを加えたり、トッピングしたりするかのほうが大事だ」
「それくらいなら大丈夫そうだ。俺たちはここで使われている軽くて丈夫なテントや寝袋がほしいと思っていたんだよ」
「ちょうど俺たちも参加しようと思っていたところだから、一緒に参加しようぜ!」
「ランド……バーナル……ありがとうなのじゃ!」
良かった、無事にサンドラも料理大会に参戦することができたようだ。こういうこともあるからチーム戦にしたのは正解みたいだな。
ランドさんとバーナルさんは冒険者だし、キャンプ場にあるキャンプギアや、アウトドアスパイスなどの調味料なんかがほしいと常々言っていた。冒険者にとってもここにある物は魅力的なのだろう。
「よし、早速カレーとやらをみんなで作ってみようぜ!」
「ああ! サンドラさん、参加するからには優勝を狙おうぜ!」
「うむ、もちろんなのじゃ!」
「基本的なカレーを作るための食材は管理棟で販売しているからな。それと基本的なカレーの作り方の書いた紙を貼ってあるから、ぜひ読んで見てみてくれ」
みんな試しにカレーを作ってみるということは想定済みだったため、今週はカレーを作るための基本的な食材を多めに仕入れてある。そしてジャガイモやニンジンなどの野菜や肉とカレールーをセットにして、カレーのレシピとセットにして販売している。
もちろん食材は仕入れ値だけでもうけはない。俺としても、このキャンプ場で料理をする人が増えてくれると嬉しいからな。
「よっしゃあ、優勝目指して頑張るぞ!」
「おう!」
「おうなのじゃ!」
サンドラもチームを組んで無事に参加できるようになって良かった。
……サンドラの場合、とんでもない食材を用意する可能性もあるからな。調理は冒険者であるランドさんとバーナルさんがいればなんとかなるだろうし、料理大会の大穴的存在になるかもしれないぞ。
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