第235話 キャンプ場への帰還

【お知らせ】

いつも拙作を読んでいただき、ありがとうございます(`・∀・´)


早いところだと本日から書店のほうに本作が並んでいるようです!

ここまで来れたのも読者の皆さまのおかげです。

心から感謝しておりますm(_ _)m


また、電子書籍版の予約も始まりました。

電子書籍は11/10となりますので、どうぞよろしくお願いします∩^ω^∩

https://x.com/tajiriyu08/status/1714603022284996628







「おっ、ようやくキャンプ場が見えてきたな」


 海のあるヴィオの街を出発して2日後、もはや自分の家となるキャンプ場へと帰ってきた。こうキャンプ場の周りにある木の柵を見るとようやく帰ってきた感じがするなあ。


 ヴィオの街からの帰路は行きのように盗賊が現れたりというトラブルもなく、何事もなく全員無事に帰ってくることができた。


「早く温泉に入りたいですね!」


「本当にそれだよな」


 そう、サリアの言う通り、まず何はともあれ温泉に入りたい。この旅行もとても楽しかったのだが、やはり道中やヴィオの街でお風呂に入れなかったのだけは不満だ。


 一応海ではストアで購入したポータブルシャワーにサリアが水魔法で水を補給してくれた簡易シャワーで身体を洗ったのだが、やっぱり普段から湯船に身体を沈める感覚に慣れてしまうと、お風呂に入りたくなってしまうのだ。


「冒険者をしていたころは1週間水浴びをしないなんてこともしょっちゅうでしたが、あの温泉に慣れてしまうと数日入らないだけでつらくなってしまいますね」


「早くお風呂に入りたいニャ!」


 どうやらアルジャやアルエちゃんも同じ気持ちのようだ。


 そうなんだよ、毎日温泉に入れるという贅沢をしていて忘れていたが、こちらの世界では風呂につかるということは贅沢なことなんだよな。早くキャンプ場の温泉につかりたいぜ。




 キャンプ場に帰ってきたらすぐに閉じていた温泉のバルブを開放してお湯を溜める。その間にみんなでキャンプ場に異状なかったかを確認したが、特に異常はなかったようだ。1週間キャンプ場を留守にしていたが、結界の能力により、物が壊されたり何かが盗まれているなんてことはなくてほっとした。


 さすがにこれだけの期間キャンプ場を放置したことはなかったから多少は不安ではあった。何かあったら結界の通知があるから大丈夫だとは思っていたんだけど、実際に目にすると安心できる。


 それにこの自宅に帰ってきたという安心感があるのはいい。温泉がたまったようなので、男女に分かれて順番に温泉へ入った。


「ああ~気持ちよかったな」


「ああ、やはりここの温泉は素晴らしいな」


「ええ。馬車での疲れが一気にとれたみたいです」


 やはり久しぶりの温泉はいいものである。ウドとアルジャと一緒に温泉から上がって、のんびりとほてりを取っていた。ちなみにアリエスは女性陣と一緒に温泉に入っている。実は普段の営業日もお客さんがいない間にアリエスも温泉に入っているんだよね。どうやら温泉の気持ちよさは魔物であるアウルクも関係ないらしい。


 それにキャンプ場だと野営とは違って結界があるので、安心してぐっすりと休むことができるもんな。


 さすがに今日は俺も疲れたので、晩ご飯は本当に簡単なラーメンで済ましたが、みんなそこそこ喜んでくれた。そしてそのまま久しぶりにぐっすりと眠ることができた。






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「ふあ~あ……」


 今何時だろ……


 身体を起こして時計を見るとすでに11時だった。


「おう……もうこんな時間か……」


 なんだかんだで馬車での旅はかなり疲れていたのと、野営をしていたこともあって、昨日はぐっすりと寝てしまったようだ。


 今日と明日はいつも通りキャンプ場の定休日で、明後日から通常営業となる。それまでには身体の生活リズムをちゃんと戻しておかなければな。


「ソニア、サリア、おはよう」


 下の階に降りると、ダイニングにはソニアとサリアがいた。昨日はちゃんと今日の朝起きられないかもしれないと伝えていたから、みんなすでに朝食をとったのかな。


 目覚ましをかけないといつもこれくらいまで寝てしまうんだよなあ。


「おはようございます」


「おはようございます、ユウスケさん」


「あれ、他のみんなは?」


「4人とも川のほうへ行って遊んでいます。アリエスちゃんも一緒だと思いますよ」


 どうやらすでにみんな起きて自由に過ごしているようだ。それにしてもみんな元気だなあ。


「相変わらずユウスケは朝が遅いですね」


「昔から休みでいくらでも寝ていいと思うと、いくらでも寝ちゃうんだよなあ。明後日の通常営業からはちゃんと起きるから大丈夫だよ」


 前世でもブラック企業に勤めていたころの休日はよく午前中ずっと眠っていたものだ。だけど基本的には目覚ましで起きられる体質だから、会社に遅刻をしたようなことはない。このキャンプ場が始まってからも寝坊したことはないもんな。オープン初日は酒でダウンしていたから寝坊ではないのである……


 そしてソニアはいつも通り漫画を読んでいる。もはやアウトドアチェアはソニアの定位置である。今日はサリアも少女コミックを読んでいるみたいだ。


「よし、目も覚めたことだし、ヴィオの街で買ってきた海鮮を使ったお昼ご飯を作るとするか。ソニア、食材を出してくれ」


「ええ、朝ご飯をサボった分、期待しておりますよ」


「ユウスケさん、私もお手伝いします!」


「ああ、ありがとうな、サリア」


 寝起きだがすでにお腹がすいている。朝ごはんを食べてないんだから当然といえば当然か。


 さて、せっかくだから、以前からやってみたかったあの料理を作ってみるとしよう。

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