第231話 海の楽しみ方
【ご連絡】
いつも拙作をお読みいただき、誠にありがとうございます♪( ´▽`)
今月下旬に発売予定の当作品のイラストが公開されました!
本文内に画像は貼れないので、下記の近況報告ノートをぜひご覧ください!
https://kakuyomu.jp/users/iwasetaku0613/news/16817330665048683627
「ぷはあ、いやあ~本当に気持ちがいいな!」
照りつける日差し、美しく青色に透き通った海、海の中を泳ぐ色とりどりの小さな魚。人の手による排水などの汚染がまったく進んでいない異世界であるがゆえ、この世界は山や海や川などの自然がとても綺麗だ。
俺の故郷の汚れた海の色とは全然違う。海や川にはゴミがたくさん浮かんでいるもんな……
「ユウスケさん、このマスクと管はすごいですね! 水の中がとても綺麗に見えますよ。それに海の中を見ながら呼吸ができるなんてとてもすごいです!」
「なかなか便利だよね。それにしても最近は少し暑いから海の水はとても気持ちがいいね」
海を泳いでいると、大き目のゴーグルとシュノーケルを装着したサリアがこちらの方へやってきた。やはり海といえばこれだよな。最近では本格的なものも取り扱っているアウトドアショップも多い。まあ、これは安物のやつだけど。
足にはシュノーケリング用のフィンも装着してある。これがあるとだいぶ泳ぐのが楽だからな。
「ユウスケさん、サリアさん!」
「おっ、イドも楽しんでいるか?」
「はい! この浮き輪はとってもすごいですね。泳げない僕でも泳ぐことができます!」
サリアと同じで髪を後ろにまとめたポニーテール姿のイドがカラフルな浮き輪を使ってぷかぷかと浮かびながらこちらの方へやってきた。どうやらイドは海や大きな川などで泳いだ経験はないようなので、ストアで購入した浮き輪を使っている。
「とりあえずこの浮き輪に掴まっておけば溺れることはないからな。だけど海には魔物もいるらしいし、何かあったらすぐに誰かを呼ぶんだぞ。それとあんまり沖の方に行かないように気を付けてな」
海は楽しいが、海の事故には気を付けないといけない。特にこの異世界ではサメよりも危険な魔物も存在するようだ。とはいえそれらの魔物が出るのは沖の方で、浜のほうまではめったに現れないらしいがな。
それと海では沖の方にすごい勢いで流れていく離岸流なんかもある。海で遊ぶのにはいろいろと注意が必要になるのである。
「はい。ウド兄さんにも注意されましたから、ちゃんと気を付けます!」
「ウドも楽しそうに泳いでいるな。俺よりも全然速く泳いでいるみたいだ。それにしても器用に泳げるなあ」
「ウドさんもいつもより楽しそうですよね!」
向こうの方ではウドがその4本腕を器用に使ってすごいスピードで泳いでいる。クロールのようだが4本の腕で水を搔いているから普通に泳ぐよりも速いのかもしれない……それにしてもあれって何泳ぎになるんだろうな?
ウドは泳いだ経験があるようで、ゴーグルもシュノーケル用のやつではなく、競泳用のゴーグルを付けている。ウドの方はあれだけ泳げているのならおぼれることはなさそうだな。
ちゃんと妹であるイドのことを気にかけてチラチラとこっちを見ている。イドに聞いたらあとで泳ぎを教えてもらうそうだ。ウドもしっかりとお兄さんをしているみたいだな。
「あっ、ユウスケお兄ちゃんニャ!」
「おおっ、これはまた見事な……」
浜辺では先ほどまで泳ぎの練習をしていたアルエちゃんとアルジャが砂のお城を作っていた。しかし、そこには小さな砂のお城などではなく、1m近くある大きくて立派な砂のお城がそびえ立っていた。
街にあるお城を真似て作ったようで、細部までしっかりと作り込んである。
「お父さんと一緒に頑張って作ったニャ!」
「アルジャは本当に器用だな」
「いえ、そこまで大したものでもありませんよ」
そうアルジャは謙遜しているが、少なくとも俺にはこんな立派な砂のお城は作れないぞ。キャンプ場での仕事もそうだが、アルジャは本当に何でも器用にこなすな。
「ユウスケお兄ちゃんも一緒に作るニャ!」
「それじゃあ、少し混ぜてもらうかな」
俺もアルジャほどではないが、多少は器用だからこういうのは好きなほうだ。
「ブルルル!」
「おっ、アリエスも混ざるか?」
「ブルル♪」
ちなみにアリエスも先ほどまでは海で器用に泳いでいた。馬が泳げるのは初めて知った。……いや、アリエスは魔物だから、厳密に言うと馬が泳げるのかは知らないけれど。
アルエちゃんの通訳によると、川で泳いだことはあったが、海を見たことは初めての経験だったらしい。大きすぎる海に驚いて、波が寄せてくるのを不思議そうに眺めていたのが少し面白かった。初めて海を見る反応はアリエスも変わらないようだ。
なんだかんだでこうやってみんなと楽しく遊んで過ごすのも悪くないな。キャンプ場でみんなと楽しく過ごすのも良いが、たまには長期の休みを取ってのんびり過ごす時間はとても大事である。
「……ソニアもソニアで相変わらずブレないな」
「海ではしゃいで過ごすのも良いのですが、こうやって浜辺でみんなが楽しんでいる姿を見ながら読書をするというのも良いものですよ」
ソニアは海へは入らず、浜辺に設置したタープの日陰の下で漫画を読んでいる。まあ、海の楽しみ方も人それぞれだから別にいいんだけれどね。
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