第229話 海の街の観光
「おっとそこのお兄ちゃん。うちのは今朝揚がったばかりの新鮮な魚ばかりだよ! ちょっと見ていってくんな!」
「へえ~確かに今まで見てきたお店の中でもいろんな種類の魚介類が売っているな。ここで明日のための食材を買っていくか」
「ええ、いいと思いますよ」
「はい。本当に種類がいっぱいありますね!」
「ブルルル」
午前中はヴィオの街をみんなで周りながら、屋台でいろんな海鮮料理を食べ歩いた。午後からは二手に別れてこの街を楽しんでいる。ウドとイド、それにアルジャとアルエちゃんはこの街の港から出ている船で海釣りを楽しむようだ。
ウドやアルジャは休みの日にはキャンプ場の横にある川で釣りをして楽しんでいることも多かった。海での釣りは川釣りとはまったく違うらしいから、みんなで楽しんでいるといいな。
ちなみに釣れた魚は持ち帰って食べることも可能なようだ。今日は昨日と同じ宿に泊まる予定なので、釣れた魚はソニアの収納魔法で保存してもらっておいて、明日に調理して食べる予定だ。何かしら釣れているといいな。
そしてソニアとサリアとアリエスは明日のための食材を購入しにまた市場を回っている。
「おやおや、お兄ちゃん。こんなに綺麗な子を2人も連れっちゃって羨ましいねえ! 恋人2人と一緒に観光旅行かい、それとも新婚旅行だったりするのかい?」
この店の店員さんは40代くらいの人族のおっちゃんだ。
ふっふっふ、商売がうまいなあ。俺のことをお兄さんと言ってくれているし、こういうのはお世辞と分かっていても嬉しいものなんだよね! よし、ここでいろいろと買うとしよう。
「いえ、彼は私達の雇い主です。今回はお店の従業員全員で観光に来ました」
「………………」
……いやまあ、まさにソニアの言う通りなんだけれどさあ。もうちょっと照れたり、ち、違うんですよ!? とかちょっとした焦りがあってもいいんだよ?
「そ、そうなんです。み、みんなで一緒に観光へ来ています!」
そうそう、サリアみたいにちょっと顔を赤くして恥じらっている様子がとても可愛らしいんだよねえ。まあサリアが恥じらっているのはそういう意味ではないと思うけど。
「そ、そうなんだな。見ての通りこの街じゃ魚介類がとても有名だ。うちの店は直接漁師を雇って魚を獲っているから、他の店よりも安くお客さんに提供できるんだよ。安くしておくから何か買っていってくれ。こっちのスライプサーモンなんかは今の時期脂がたっぷりでおいしいぞ」
ソニアが恋人であることをバッサリと否定したことによって若干気まずそうにしていた店員さんだが、さすが商売人だけあってすぐに持ち直して商品を勧め始めた。
「スライプサーモンは別の店で食べたけれど、確かに脂が乗っていてうまかったな。それじゃあ1匹もらうよ。他にもいっぱい買うから、その分ちゃんと値引きしてくれよ」
確かこのスライプサーモンは脂が乗っていてとてもうまかった。こいつはアルミホイルへ野菜とバターと一緒に入れて包み焼きにして、仕上げにちょっと醤油を垂らしたホイル焼きに最適だ。
「へい、まいど! そりゃ嬉しいね。任せときな、買ってもらった分だけ値引きしておくよ」
「ユウスケ、さっき食べたリッキム貝はとてもおいしかったです!」
「ユウスケさん、屋台で食べたドナルシュリンプの串焼きはとってもおいしかったです。少しでいいので買ってくれると嬉しいです!」
「ブルルル!」
「待て待て! ちゃんとほしいやつは買うからひとつずつ順番に頼む。おっちゃん、他にもこの店のお勧めもいろいろと教えてくれ」
「おう、こりゃ大物のお客さんが来てくれたもんだ。任せておきな、せっかくこの街へ観光に来てくれたんだし、うまいもん食っていってくれよな」
どうやらみんな朝と昼に食べたものの中でも食べたい食材があったらしい。アリエスもアルエちゃんはいないが、食べたい食材を指し示すことはできる。釣りに行っているみんなの分も含めていろいろと買っていくことにしよう。
「おお、いろいろと釣れたんだな!」
「ああ、思ったよりもいろんな魚が釣れたぞ」
「ユウスケさん、こっちの大きな魚は僕が釣ったんですよ!」
「おお、すごいなイド!」
イドがその中でも一番大きい50cmくらいある赤い魚を見せてくれた。今は他のみんなも宿に帰ってきて、海釣りでの釣果を楽しそうに報告してくれている。
午後は市場をゆっくりと回って、この街の灯台や綺麗な海が見える観光地などを回ってから昨日の宿へと帰ってきた。
アリエスがキャンプ場に来てから、街での買い物はアルジャに頼むことも多くなった。ソニアとサリアと一緒に出掛けるのは結構久しぶりだったから、おっさんとしては少しドキドキしてしまったぞ。……まあアリエスもメスなのでハーレムであると言えばハーレムだったな。
「ええ、海での釣りは想像以上に楽しかったですね」
「ちょっとだけ気持ち悪くなっちゃたけど、とっても楽しかったニャ! こっちとそっちのお魚はアルエが釣ったニャ!」
「へえ~アルエちゃんもいっぱい釣れたんだね。みんな楽しめたようで何よりだよ」
どうやらアルエちゃんは少し船に酔ってしまったようだが、それでも海釣りを楽しめたようだ。みんなが釣ってくれた魚は俺達が市場で購入してきた魚介類と一緒に明日みんなで食べる。今から明日が楽しみだな!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます