第18話 小休憩
アカネの固有領域を出ると、そこは聖都近くの川岸だった。
「ふぅ……」
「っとと」
アカネは出先を知っていたため余裕で足をつき、ルークは足場が砂利になったため少しだけよろめく。
「どっちが先に出ようと変わるまいに」
「だったら譲りなさいよ!」
ウィーカとリインフォースは足場の悪さなど意にも介していない。
「へ?あわわわッ!?」
そして飛び込んだセレスティアはバランスを崩して砂利へと倒れ込んだ。
鎧のおかげで怪我はないようだが、痛みがあるのかすぐには立ち上がらない。
ルークはレオナを草むらの上に下ろすと、セレスティアに近づき手を差し出した。
「だ、大丈夫か?」
「ふあい」
セレスティアはルークの手を取って立ち上がる。
「怪我とか無いか?」
「……あ、ありがとうございます。大丈夫です」
あまり男性免疫のないセレスティアは自分の身を案じてくれるルークにちょっとドキッとする。
だが、ルークの後ろで睨みを利かせている二振りの剣の精霊に気圧され、すぐにルークから距離を取った。
「足とか腕とか痛くなったらすぐに言えよ」
「え?あ、はい!」
ルークは後ろの圧に気づいていないのか、セレスティアの方にのみ気にかけていた。
「セレスティア、ここって聖都からどれくらい離れてるかわかるか?」
「えっと……」
辺りは真っ暗で何も見えない。
セレスティアはそのまま砂利の外へと歩き出し、草むらを登る。
そしてすぐに戻ってきて南東の方を指さした。
「聖都からおおよそ2~3キロ離れたところだと思います。恐らくルキウス山から流れる川のどこかかと」
「追手がこっちに来たとして、すぐに見つかる可能性あるか?」
「どうでしょう。パッと見た感じ外に兵士の捜索隊が出ているとは思えませんでした。あ、でも火を焚くと門兵が気づくかもしれません」
「んじゃあ、今はとりあえず安心か」
ルークはそう呟くと、軽く手を叩いた。
全員の視線がルークの方へと向く。
「とりあえず少し休憩しよう。お前ら水を飲むなり、出すもん出すなり自由にしてくれ」
「わかりました」
「わかったわ」
「承知した」
「はいです」
そのまま六人は自由行動を取る。
レオナは未だ夢の中。
セレスティアは急ぎ鎧を脱いで人気のない方へ。
アカネは川岸の大きな石に腰掛けて聖剣と魔剣の喧嘩を見学。
リインフォースとウィーカはルークの傍でやいのやいのと騒ぎ、ルークは川の水で喉を潤していた。
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