第16話 聖剣と魔剣
「ふぅん?まぁいいや。よろしくなウィーカ」
「あぁ、末永くよろしく頼む。主様」
「てやっ!」
互いに握手を交わそうとするも、リインフォースの介入で阻まれる。
「なにしてんだお前」
「構う必要はない。幼子の妬心だ。優しく流せばよい」
「ふざけないで。コイツは“アタシ”のマイマスターよ。アンタみたいな清楚系ぶってる奴に渡すつもりは無いわ」
まるで所有物を逃さないようにルークの腰に纏わりつくリインフォース。
そんな彼女に対し、ルークは煩わしそうに体を揺する。
「お前らがどういう間柄か知らねぇけど、オレを巻き込むな」
「マイマスターは良いの!?こんな奴を嫁にするなんて正気じゃないわよ!?」
「……嫁って。ん?なんでそんな話になってんだ?」
この場で眠り続けているレオナを除くと唯一、話についていけていない男は心底不思議そうに首を傾げていた。
「当代の主様はおつむが足りていないようだのぅ。まぁ、それも可愛らしさじゃ。よいよい」
「騙されちゃダメ!あの女はああやって甘やかして人をダメにする最悪の女なんだから」
「酷い言われようじゃのう。そういう貴様は主様に縋り続ける寄生虫じゃろうに。主様、その女は甘やかせば甘やかすほど付け上がる愚か者。早々に見切りをつけるが吉じゃ」
全然話しについていけていないルークを余所にいがみ合う二人。
そんな三人をセレスティアとアカネが遠目から傍観していた。
「私の中の聖剣のイメージが……。なんかもっと高尚なモノだって教わってたのに……」
信仰の対象たる聖剣の本性を知って、セレスティアは思わず頭を抱える。
そんな彼女を横目にアカネは笑顔で彼女の肩を叩いた。
「まぁ、伝承なんてそんなものですよ。拙もウィーカ様の声を聞いた時にそう感じました」
「え?同じように頭抱えました?」
「はいです。今はまだまともに見えておりますが、あの方もあの方でだいぶ闇の深いもごもご」
話の途中でウィーカに口をふさがれるアカネ。
見上げるとそこには若干不機嫌そうに微笑むウィーカの顔があった。
「余計なことを喋り出すでない巫女よ。主様に聞こえたらどうするつもりじゃ?」
「ハッ!聞かれたらマズいような本性を隠してるって自分でばらしてるようなもんじゃない!見なさいマイマスター!あれがアイツの本性よ!」
これ見よがしにウィーカを指さすリインフォース。
その町娘にも似た動きを見て、セレスティアは更に己の中の信仰心を崩されてしまうのであった。
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