第14話 魔剣
「ハハッ……。魔剣ウィーカ。あの口うるさい女が近くにいるのならこの不快感も納得ね」
リインフォースの言葉にルークは首を傾げる。
「知り合いなのか?」
それは直接リインフォースに聞き返した形となり、アカネが不思議そうに目を細めた。
「不倶戴天の敵とでも言えばわかるかしら?」
「全然わからん」
「えと、どちら様とお話しているので?」
アカネの問いにルークがハッとする。
アカネには恐らくリインフォースの姿も見えていなければ、声も聞こえていない。
あの大司教と枢機卿の前例があったおかげですぐに察することが出来た。
「ここに聖剣リインフォースの精霊がいるんだよ。見えないかもしれないけどな」
「聖剣リインフォース……!?もしやその腕に引っ付いているのは……?」
アカネの指さす物を手に取り、見えるように前に出す。
「これがその本体だな」
「まさか本物の聖剣をこの目で拝むことが出来るとは……このアカネ・イセ、感無量でございます」
魔族として正しい反応かは置いといて、アカネは聖剣の前で跪いて拝んでいる。
「えと……あ、皆さんのお名前は?」
「あぁ、オレがルーク。背中で寝てんのがレオナ。そっちの騎士鎧がセレスティア・ルーヴル。見えてないだろうけど、ここにリインフォース」
思っていた以上に丁寧な紹介に皆が目を剥く。
その中でもセレスティアは特に驚いていた。
「まさかルークさんが家名まで覚えているとは思いませんでした」
「は?いや、お前自分で名乗ってたろ」
「いや、まぁそうなんですけどぉ」
セレスティアはルークが物覚え悪そうに見えていたとは言えず、もごもごと口を動かすだけに留める。
そんな彼女をよそにアカネがルークの方に体を向けた。
「ルーク様」
「ん?」
「魔剣の精霊よりお導きがありました。どうかこちらをお手に取ってください」
袖の中から取り出したのは黒紫色のブローチ。
綺麗な装飾が施されており、中心にはキラキラと煌めく大粒の宝石が付いている。
その宝石をルークは無造作に掴み取る。
「なにこれ?」
「魔剣ウィーカ。その本体にございます」
【魔剣ウィーカ】
それは本来、反りを持つ片刃の長刀。大和統一記にて、初代魔剣の主であった大将軍のタケル・ヤマトが持ち帰ったとされる神造の対邪武器である。
主無き時は宝石の付いた装飾品となっており、その中には精霊が宿ると伝えられている。
また、精霊の姿を視認し、その声を伝える者は巫女と呼ばれ、イセの国にて大事にされる。さらに魔剣の宝珠に触れることが出来る者は大巫女となり、魔剣の主を探すための旅に出る宿命を負う。
リインフォースは大量の苦虫を噛み潰し、無理やり飲み込まされたような顔でその宝石を睨んでいた。
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