第11話 聖剣の勇者の偽物


「この辺に隠れているはずだ!しらみ潰しに探せ!」

「「「ハッ!!!」」」


 兵士や聖堂騎士から逃げ隠れている約四名は彼らの横を悠然と歩いていた。


「……なぜ気づかれていないんだ?」

「シッ……。質問はもうちょい人が少なくなってから」


 セレスティアの不安そうな声をルークが諫める。

 30分ほど歩いて街の出口付近にまで来ると、ほとんど人がいなくなっていた。

 代わりに、街に入るための門は閉ざされており、その門の傍には多くの兵士が集まっている。


「もういいか」


 近くの路地裏に入り込むと、ルークがホッと息を吐く。


「レオ。いったん、術を解いていいぞ」

「ん」


 身隠しの術で少し疲れているレオナは地面に座り込む。


「でも、あの大司教と枢機卿は笑いものだったわね。しかも、聖剣に触れられない聖職者とか……プフゥ」


 思い出し笑いをするリインフォース。

 そして、聖堂騎士であるはずのセレスティアは周辺に兵士や騎士がいないかを警戒している。


「なぁ、セレスティア」

「どうした?」

「今更だけど、なんでお前まで逃げてんの?」

「う……」


 バツが悪そうに顔を歪めるセレスティア。

 警戒が終わったのか顔をルークへと向け、もごもごと口を動かした。


「いやぁ……リインフォースさんがいるのは事実ですし……。ガードゥン様もレイヴン様も本当に見えてなさそうだったので……。なぁんか変だなぁと」

「それでもお前は向こう側の人間なんだから、オレらを捕まえることも出来ただろ?結構、驚いたんだぞ。急に腕引っ張られたと思ったら窓ガラス破って逃走って。しかも、オレらをあそこに案内した張本人がさ」

「ですよね~。やっちゃってますよね~」


 出会い頭の凛々しさなどどこへやら。

 セレスティアは不安そうに眉をひそめて、指を弄っている。

 そんな彼女を見て、リインフォースが不思議そうに声を出す。


「ねぇアナタ、さっきまで凛々しい騎士様だったのにどうしたの?」

「いやぁ、私はどっちかと言うとこっちが素でして……」

「んじゃあ、さっきまでのは?」

「キリッと騎士を頑張ってました!」


 本人は誇らしげに言っているが、どことなく頼りなさが漂っている。

 そんな中、セレスティアは唯一喋っていないレオナの方に視線を向けた。


「あの……レオナちゃん。大丈夫なんですか?」

「あぁ、レオはもともとそんなに法術得意じゃないしな。体力も使うからすぐヘタるんだ」

「ごめんなさい」


 ルークの説明を聞いて立とうとするレオナにルークが手を差し伸べる。


「何言ってんだ。こっちは助かってんだからもうちょい休んどけ。移動しなきゃいけない時は背負ってやるから」

「うん……」


 と、レオナが頷いたところで四人に光が照らされる。


「見つけたぞ!逃亡者三名!うち一人は聖剣の勇者を語る偽物だ!」

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