第7話 女性の蒼銀騎士
現れた兵士は蒼銀色の全身鎧を纏う女性だった。
おもむろにヘルメットを外すと、ブロンドの髪が美しく流れる。
そして、長身美女に相応しいキリッとした面立ちが露わになった。
「挨拶が遅れて申し訳ない。私は聖堂教会・蒼銀騎士団所属【セレスティア・ルーヴル】。急に現れて驚いているだろうが、安心して欲しい。君らに危害を加えるつもりは無い」
下水道は当たり前だが足元が絶えず濡れている。そして、閉鎖空間となっているため、足音と言うのは非常に響きやすい。
いくら三人でワチャワチャしていたとはいえ、ルークとレオナが他人の気配に気づけなかったのは初めての事だった。
だからこそ、ルークとレオナはセレスティアに対して警戒心を露わにしていた。
そんな二人にセレスティアは少し困ったように笑みを浮かべる。
「……できれば平和的に解決したいんだが」
「目的はなんだ?」
ルークの言葉にセレスティアはホッと胸を撫で下ろす。
話し合いにすらならないと覚悟していた分、向こうから対話に持っていってくれたことに感謝さえした。
「ありがとう。私の目的は“奪われた聖剣を取り戻す事”だ」
「返したいのはこっちも同じだ。けど、どうする?こんな風に身体に貼り付いて困ってんだ」
ルークは聖剣を二の腕に押し付けて手を離す。
すると、糊(ノリ)で貼り付けたように留まった。
「やはりな……。先ほどの君たちの会話を聞いて聖剣の精霊が覚醒したことは理解できていた。まさか盗人が聖剣の主になるとは……」
「言っとくけど、盗みたくて盗んだわけじゃねぇぞ」
「酷い……私の心と身体を奪っておきながら、そんな言い方をするなんて」
「紛らわしい事言ってんじゃねぇ!」
泣き真似をするリインフォースにツッコミを入れるルーク。
そんな二人を見て、レオナがルークにギュッと抱き着く。
「何してるの?この子」
「レオ?どうした?」
「おカシラ、わたさない」
「安心なさいな。私はマイマスターの所有物であって、マイマスターは私の所有物ではないわ。貴女がマイマスターの所有権を主張するのなら、私は素直に明け渡すつもりよ」
そんな事を言いながらも、レオナとは逆の方向からルークに抱き着いてくる。
半裸の青年に少女が二人抱き着いている光景にセレスティアは微笑ましそうに口元を緩めた。
「モテモテだな」
「アンタ、今のこの状況を見てそう言えんのか。スゲェな」
ちょっと緩んだ空気のおかげで四人はたき火を囲んで座る。
そして、セレスティアが口を開いた。
「聖剣の勇者殿。共にエレイナ聖堂まで同行して欲しい」
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