第26話 お盆という時期だから

 その継母からは、大学どころか高校すら進学を渋られているというのに……


「将来、私が功薙いさなと接触して、私の側に付いたら困ると思った代美子さんは、功薙いさなを育てるけど、私にはその代償として、自殺するようにほのめかしたのよ。毒入りクッキーのお見舞いを持参して」


 毒入りクッキー、自殺……?

 継母は、僕とお母さんが接触する事の無いように、自殺させた。

 

「そんなの酷いよ! お母さんは、抵抗すれば良かったんだ!」


「あの時は、代美子さんにすがるしか無いと思ったのよ。あなたの為に。私も実際、病弱で働けない日も多かったから、仕事も失いかけていたの。自分が、そのまま生きていたとしても、どれだけ生きられるか分からなくて……身寄りも無い私は、急に入院する事にでもなったら、その間、どうしていいか分からなくて、功薙いさなをちゃんと育てられるか自信が無かった。代美子さんに頼るより仕方なかったのよ」


「でも……その結果、僕は、幸せになれなかった」


「ごめんなさい、私が……代美子さんの言葉を信じた私がいけなかったのよ」


 すすり泣いているようなお母さんの声。


「お母さんは、悪くない! それだって、僕の将来の為を思ってしてくれたんだ! 悪いのは継母だ! これから、僕は生き返って、継母を罰する事にするよ!」


「もう証拠が無いから、無理よ。お母さんは、あなたに罪人になってもらいたくない!」


 そこで、シアニーの声が聴こえて来た。


「感動のご対面は分かるけど、ねぇ、2人とも、僕の存在をすっかり忘れてない? 少しは、僕の能力を頼ってよ!」


「あっ、もしかして、シアニーなら、お母さんの無念を晴らせるの?」


 シアニーは、確かに、スゴイ能力者だと思うけど、それは、この中間層にいる時に限った事なのでは……?

 ここから出ても、その威力を発揮出来るのだろうか?


功薙いさな、その点は大丈夫だよ! だって、今はお盆なんだから」


 お盆は、三次元と四次元以上の境界線が、いつもより曖昧になっていると言われていた事を思い出した。

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