第25話 母の事情
集中していないといけない事は分かっているはずなのに、途中から、気持ちが抜けて、継母の事を思い出してしまっていた。
「
「シアニーには、全てお見通しなんだね……次は、大丈夫! しっかり集中するから!」
ほんの少しだけ、継母の事を思い浮かべただけでも、ダメになってしまうんだ!
今度は、真剣に本当のお母さんに会える事だけしか考えないようにして、継母なんかに気持ちを持って行かれないようにして頑張らないと!
「いいかい、
シアニーの合図を聴いているうちに分かった!
僕だけが頑張っているわけじゃないんだ……
この瞬間、多分、シアニーのエネルギーも僕に加勢してくれて、ここに寄せられているのを感じられてくる!
僕は、本当のお母さんに会える!
必ず、会うんだ!!
「
その時、何かパッと包み込む空気感が変わった!
姿は見えないけど、女の人の声が微かに聴こえてきた!
多分、声質的に継母と同じくらいの年齢の女の人のような声だから、本当のお母さんに違いない!
「もしかして……僕の本当のお母さんなの……?」
「そうよ、
シアニーと同じで、姿は見えないけど、そこにいるのだと思う。
声は、今度はしっかりと耳に届いた!
「お母さんなんだね! 僕も会いたかった!」
ほんのりと暖かい空気に包み込まれている感じが伝わって来る。
きっと、お母さんが僕を抱き締めてくれているんだ。
「ごめんなさいね。私が、あんなに早く死んでしまったせいで、あなたには辛い目に遭わせてしまって……」
「お母さんのせいじゃないよ! あの継母の仕打ちがひどいだけで……」
継母の僕に対する態度は、お母さんもずっと中間層から見ていたのだろう。
「あの時……代美子さんの言葉を信用しなければ良かった」
代美子……
あっ、継母の名前だ!
「お母さん、継母から何か言われていたの?」
「私は病弱なシングルマザーだったから、あなたを育てても、お金に困って、せいぜい高校くらいしか卒業させてあげられなかったかも知れない。でも、代美子さんは、私に代わって、あなたを大学まで進学させて、立派な人間に育てると約束してくれたのよ。だから、あなたの幸せの為に、代美子さんの言葉を信じて、お世話になる事にしたの……」
そうだったんだ……
お母さんは、元々病気がちなシングルマザーだったんだ……
それに付け込んで、その時はまだ子供に恵まれていなかった継母が、都合良い話を持ち掛けたのか。
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