第24話 お母さんに逢おうと

 シアニーの物憂げな口調が、心に突き刺さる。


「そんなのシアニーのせいじゃないから! 僕の理解が足りなかったせいだと思うよ! それに、もしかして、幽体でいる方が、お母さんと長く話していられるという可能性も有るんじゃないか?」


 うん、きっとそうに違いない!

 この中間層という空間が、それを可能にしてくれそう!


「そうだね。確かに、まあ、生身で会う時に比べたら、長く一緒にいられる時間を確保できるけど……」


 そんなメリットが有るというのに、まだシアニーの声はどこか暗い。


「それなら、僕は、絶対にそれで良かったよ! シアニーは失敗したわけじゃなくて、むしろ、成功したんだ! 僕の希望通りになったんだから!」


 僕が明るい声で念を押すようにそう言うと、シアニーは、やっと笑い出した。


「君は、すごく前向きな性格なんだね。とても、自殺しようとした人間とは思えないよ。自殺者は大抵、悲壮感が見るからに分厚く漂っていて、どんなに必死に説明しても、僕なんかの話には耳を傾ける事も出来ない人達が多いんだ……」


「僕は、普段から、継母に辛くあたられていたのをガマンして来たから、普通の少年に比べたら、我慢強い性格になっているのかも知れない。こうして考えると、逆境も悪い事ばかりじゃなかったんだ!」


 シアニーにつられて僕も笑った。


功薙いさなのおかげで、僕は失敗したという罪意識が随分と軽減して、気持ちが少しラクになったよ! ありがとう!」


「そんな、お礼言われるほどの事でも……」


 あまり感謝されるような立場になる事なんてなかったから、照れてしまう……


「さあ、じゃあ、早速始めようか! 僕が、これから、1.2.3で合図するからね! その時、君は、オデコの辺りに、本当のお母さんに会うという気持ちを一心に集中して欲しい!」


 シアニーは、もう笑っているような声ではなく、真剣な声になって、一字一句力を込めて発言していた。


「オデコ……? ああ、そうか、第三の目と言われる辺りの事だよね? ここに、お母さんに会えるという気持ちを集中させるんだね?」


 オカルトっぽい話は、元々興味が有った。


功薙いさなは、第三の目を知っているんだね! まだ残念ながら、本来の機能を果たしている様子は他の人達と同様に無いけど、僕の合図で、意識を集中したら、何とかなりそうだと思う。いいかい、功薙いさな?」


「うん、僕は、いつでもOKだよ!」


「1.2.3、はい!」


 シアニーの合図と共に、目を閉じて一生懸命、第三の目と言われる辺りに、お母さんに会えるという意識を集中した。

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