第20話 哲矢とのコミュニケーション
「でも……」
お母さんは、僕の事に関しては、いつでも何だって全否定するきらいが有る。
哲矢の言葉の中にも、僕というワードが有るから、お母さんの立場としては、何が何でも聞き流せないものが有るんだ。
お母さんの反論の勢いが強過ぎて、哲矢は、それ以上はこの件に関して言い続ける事が出来なくなってしまっていた。
哲矢、ごめん……
僕がもう少しスムーズに伝える事が出来ていたら、哲矢は、あんな風に、お母さんから責め立てられずに済んだのに……
「君はもう随分、コツを掴んだみたいだから、今度は上手く発声する事が出来るよ」
シアニーが自信を持たせてくれるような感じで慰めてくれたし、このままでは、哲矢がいたたまれない。
もう一度、イメージしながら哲矢の耳元で発声を頑張ってみた。
「哲矢、僕だよ……僕は、大丈夫……心配しないで」
あんまり長く言葉を繫げて話す事はまだ出来ないから、途切れ途切れになってしまったけど、きっと哲矢には伝わったはず!
「うん、分かったよ!」
哲矢が、見えてないはずなのに僕の方向を見上げて返事をして、椅子からスッと立ち上がった。
「哲矢、どうしたの?」
お母さんが、また何か怯えたような顔で哲矢を見ていた。
「僕ね、やっぱりちゃんとお兄ちゃんの声を聴いたんだ!」
「また、その話なの? もう、一体何なのよ? いい加減にして、哲矢!」
哲矢を睨み付けてヒステリックに言った、お母さん。
「いや、哲矢には、
お母さんとは対照的なほど微笑ましい表情で哲矢を見つめたお父さん。
「うん! 心配いらないからって!」
哲矢は、お父さんに笑顔を向けた。
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