第13話 シアニー

「起きて、功薙いさな!」


 この声……誰の声だろう?


 聴き取りやすい高くてハッキリした声……


 女の人?

 ボーイソプラノ?


 継母ではなくて、哲矢でも無い。


 ……そうか、僕、死んだんだ!


 だとしたら、僕を迎えに来た、天使さんの声? 

 それとも、もう本当のお母さんの所にテレポーテーションさせられた?


 お母さんの声なのかな?


 上手く行ったんだ……


 自殺なんて、慣れない事……そりゃあ、慣れていたら大変だけどね。

 そんな慣れない事をしたから、もしも失敗してしまったらって不安だったけど……どうやら、1度で成功したみたいだ。


功薙いさな、気が付いたようだね。君は早とちりさんだから、危なかったんだよ」


 早とちりさん……?

 危なかった……?


 何の事だろう……?


 僕は、もしかして、死ねなかったって事なの……?

 

 声は聴こえるけど、その声の方を見ても、誰も見えない。

 誰も見えていないんだけど、でも、そこに存在が有る事は、不思議となぜか、認識出来るんだ。


「まだ君は死に急ぐ必要なんて無いんだよ。だから、私が前から夢の中でメッセージ送っていたのに……もっと、メッセージの意味を考えて、思い止まって欲しかったな……」


 メッセージって、夢の中の……?

 意味わからない文字の羅列の夢の事......?


「もしかして、あの文字の羅列の夢は、君が見せてくれていたの? そんな能力が有るなんて……君は誰?」


「私はシアニー。あの夢は、私が君に意図的に見せていたの」


 シアニー……

 僕の夢を操る存在。

 僕だけの夢を操っているのかな……?

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