第12話 お母さんの待つ天国へ

『継母が意地悪だから死にます』


 なんて単刀直入に書いて、継母が第一発見者となった時には、遺書を確実に処分されてしまうだろうから、それなら意味が無い。


『本当のお母さんに会いに行きます』


 これが、僕にはしっくり来るけど、継母に対する嫌味でしかないかも……


 でも、考えてみたら、今まで散々、嫌がらせされていたんだから、最後くらい、僕が仕返しをしても、罰があたらないよね。


 罰……といえば


 継母が口にしていた、僕の本当のお母さんは、悪い行いをしたせいで罰があたって亡くなったという言葉、本当に、そうなんだろうか?


 そこも、気になるけど、まあ、お母さんも亡くなっているし、僕も死んだら、別にもう気にしなくても仕方ない事なのかな……?


 ベッドのシーツ、今まで、僕に色んな夢見をありがとう。

 最後に、もう1回だけ、僕の役に立って!


 お母さんが、あまり洗濯してくれなかった薄汚れたシーツをベッドから剥がすと、ほこりっぽくて咳き込んだ。

 そのシーツの両端で、頭が入るくらいの輪っかを作り結んだ。

 それをドアノブに引っ掛けてから、僕の頭部を入れた。

 

 14年……僕の人生は、これで幕を閉じるんだ。


 昨日まで、死ぬ事なんて、全く考えて無い人生を送って来た僕が、たった1日もしないうちに、こんな自暴自棄になってしまうなんて……


 継母からの言葉もだけど、真実は僕には酷過ぎたんだ。


 その真実を知った上で、将来の夢すらまだ決めていなかった僕が、その進路を中卒で閉ざされて、後の人生は恩返しの為だけに生きる事を課せられた。


 そんな全く希望を抱けない人生なんて、僕の方からさっさと終止符を打とう!


 そして、天使さん達に迎えに来てもらって、天国で待つお母さんの所へ連れて行ってもらおう。


 キリスト教では、自殺者は天国に行けないっていうの聞いた事が有るけど、僕は別にキリスト教徒じゃないし、事情が事情だから、閻魔様も分かってくれるはず!

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