第8話 夢の中にて……

 継母は、僕を中卒で働かせて、早く厄介払いして、本当の親子3人水入らずで暮らしたいんだ。

 お父さんだって、僕がいると、いつもお母さんに尻に敷かれ続けなくてはならないから、迷惑なんだ。

 哲矢は、男兄弟だから、僕と仲良いかというと、そうでも無くて、兄である僕なんかよりもゲーム機の方がよっぽど大事な友達なんだ。

 

 僕はずっと、みんなの事を家族だと思って疑いもせず一緒に暮らして来たけど、そうじゃなかった!


 例えば、僕が突然消えてしまったって、誰1人として哀しむ家族なんていないんだ!


 ここにこうして居続けても、僕はただ惨めな気持ちをずっと味わい続ける羽目になるだけなんだ……


 だいたい、中卒で、就職なんて、そんな人生イヤだよ!

 今まで、何の為にこんなに勉強を頑張って来たんだろう?

 ここは、僕の家ではなく、僕がどんなに頑張っても認めず、僕を必要としない人達ばかりが集まった空間なんだ!


 だったら、知ってしまった以上は、僕はもう、ここに存在し続ける意味なんて無いよね……


 とにかく、もう、こんな不自然な空間から逃げ出したかった!


 でも、どうしていいのか、漠然とし過ぎて、何のアイディアも浮かんでなかったんだ。


 そんな時に、夢の中で……


 誰もがそうなのかも知れないけど、僕の見る夢は、大きく分けて2パターン有るんだ。

 周りに色んな人間達が出て来て、現実っぽいのとか現実離れしているのを見るパターンと、もう1つは、ただの文字の羅列を見るパターン。


 そういえば、少し前にも、文字の羅列の夢を見ていたっけ。

 あれは、7月7日の夜から翌朝にかけて見た夢だった。


『新暦7月7日は無意味。

 旧暦7月7日こそ重要。

 旧七夕が、何故、お盆の辺りか?

 彦星は既に故人。

 年に一度、条件揃え中間層にて逢瀬叶わん』

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