第7話 余分な存在
僕は、不倫して出来た子だった。
こんな事なら、ずっと知らないでおいた方が良かった……
ずっと、継母にどうして嫌われているのか分からないで考え続けていた時の方が、まだマシだった。
継母は、僕の顔を見る度に、由希という名前の僕のお母さんの事を想い出してしまうんだ。
そりゃあ、継母にしてみれば、僕は憎らしいだろうよ!
自分達が子供出来なくてイライラしている時に、お父さんが出張先で、女を作っただけじゃなく、後から現れた分際で先に子供まで作ってしまたんだから!
それでも、あの継母は、ガマンして僕を育ててくれた。
こんな事情が有るんだから、実子のようにとはいかなかったかも知れないけど、今まで、何不自由無く育ててくれていたんだ。
……だとしたら、僕は継母に感謝しなくてはならないんだ。
そして何年かして、やっと念願のお父さんとの実の子供の哲矢が生まれた。
そうか……
その時には、全然自覚無かったけど、多分、その頃からだったのかも知れない。
僕に対する継母の態度が、急に露骨なほど悪くなっていったのは……
継母は、哲矢には呆れるほど大袈裟に愛情を注いでいたんだ。
そんな様子を目の当たりにしていると、その時まだ物心がついてなくて実感なかっただけで、僕が小さい時には、てっきり継母は僕も可愛がってくれていたものだと思っていた。
いや、無理矢理思い込ませていた……
哲矢みたいに小さな子の方が、危なっかしくて未熟な存在だから、親は愛情を強く示さなければならないものだと、自分に思い込ませて、1人で納得していたんだ。
そうでもしなきゃ、何だか自分が惨めだったから……
でも、これで、ハッキリと確認出来た!!
僕だけが、この家では、余分だった……って。
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