第4話 愛人の子
あの夜、僕は、空腹で目が覚めて、喉が渇いたから、冷蔵庫の麦茶を飲もうとして台所に行った。
「私、もう本当にお手上げ!」
「そんな事、言わないでくれよ」
ヒステリックなお母さんの声に対し、お父さんは及び腰。
「
昼間、僕が言った事に対して、お母さんは激怒していた。
高校進学について話した事……
僕だって、それを否定されて傷付いていたけど……
僕は、そこまでお母さんを怒らせるような事を言っていたのだろうか?
「中三といえば、まだ周りと一緒の事がしたい年頃だから、
お父さんは、僕を庇ってくれている!
僕の目の前では、そんな素振り見せなくて、お母さんに頭上がらない感じだけど、お父さんが、ちゃんと庇ってくれる時も有るんだ!
それが分かっただけで、何だか目頭が熱くなって来た。
「あなた、私の身にもなってよ! 私はずっと、哲矢と違って可愛げ無い、血の繋がってもいない愛人の子を小さい頃から我が子のように育てて来たのよ!」
哲矢と違って可愛げのない子……って?
まさか、僕の事……?
血の繋がっていない愛人の子……
我が子のように育てて……って?
もしかして、僕は、お母さんの本当の子供ではなかったって事なの……?
哲矢の母親は、このお母さんだけど、僕は違っていた!
僕のお母さんは、他にいたんだ!
このお母さんは、僕の実母に代わって、僕を育ててくれている継母だった!
それならば、哲矢に接する時との態度の違いも、僕への愛情の感じられないヒドイ仕打ちも納得だ!
いつもお父さんが、お母さんに対してあまり強く言い返せないのも、愛人がいた事に対する後ろめたい気持ちが有ったからだったんだ。
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