第3話 あの夜から……

 そんな僕の淡い期待をことごとくスルーするお母さん……

 ずっと認めたくなくて考えないようにしていたけど、それでも、だんだんハッキリと思い知らされたのは……


 お母さんは、哲矢の事は大好きだけど、僕の事は大嫌いって事!

 

何でも僕にはガマンさせるくせに、哲矢が中学生になったら、きっと、新しい学生服を買って、すんなりと私立大学にだって進学させるつもりなんだ!


 どうして、こんなにも兄弟で対応が違っているのだろう?


 僕は、いつの間に、お母さんにこんなにも嫌われてしまったんだろう?


 もしかして、僕は気付かないでいたけど……

 お母さんが嫌がるような、何をしでかしていて、それからずっと僕は、こんなにも、お母さんに嫌われる事になったのだろうか?


 何度も何度も夜、眠れなくなるくらい考えた。


 でも、答えは見つからなかった。

 それもそのはずだった……


 ある時を境に、僕は考えもしなくなったし、お母さんの態度も、当然と思えるようになったから。


 僕は、知ってしまった......


 あの時までは、お母さんは、単に僕がキライなだけなんだと思っていた。

 僕は、お母さんにいつ、何をして嫌われたのだろうと、ずっと疑問に感じていたんだ。

 そして、それが分かったら、僕に改める事が出来るような事だったら、喜んで少しずつでも改めていこうと思っていた。

 お母さんが、少しでも、僕の事を好きになってくれるように、努力し続けようと思っていたんだ。

 

 でも、そんな必要は無かったんだ。


 何をやっても、お母さんが、この先、僕を哲矢のように好きになってくれるような事なんて、決して有り得ないんだ!

 

 僕の……報われる事の無い努力をし続ける時間は、あの時、音も立てずに、終わりを迎えたんだ。


 長年疑問だった事に対しての答えと共に……

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