第2話 選択。
「で、俺がやるべき条件は……」
『人知れず、穏やかに、迷惑をかけず、損傷と苦しみはどちらでもよく、お金のかからない死。これがアナタに与えられた条件です』
「なかなかに条件があるんだな」
『アナタはこの条件にピッタリと当てはまる死に方を模索し、正解にたどりつきましょう』
画面が変わり、どこかの部屋のような風景が映し出された。
『何処に行きますか?』
その言葉の下には「海」「山」「街」「ネット」「行かない」と選択肢が現れる。
この中から条件にあった死に場所を探さなければならないということか。
行かないを選べば、多分この部屋にとどまるということだろうが、自分が死にたい場所、そう思ってみてもあまりピンとこない。
適当に「街」を選択すると、場面が切り替わった。
『何処に行きますか?』
再び選択肢が5つほど現れ、なるほどと納得する。
1つ目の大きな括りを選んだら、そこから小さな括りに移行する。それを繰り返して死に場所を求めていくのだろう。
選択肢のうちの「屋上」を選んでみた。
理由は選択肢の一番最初だったから。
おそらくこの次の選択肢は飛び降りるか飛び降りないかだろうと思っていたが、全く違う文言が並ぶ。
『この場所での方法は飛び降りです。しかし、ここは人通りの多い場所です。アナタが飛び降りることで、巻き込まれて死亡する人が出ます。さらに人通りが多いことにより、アナタは非常に騒がしい中で、注目を浴びて死ぬことになるでしょう。死にますか?』
「条件があるからロケーションも単純ではないってことか」
明らかにこれは条件に反する状況だ。当然、「いいえ」を選択する。すると、再び『どこへいきますか? 』とはじめの選択肢に戻った。
なるほど、これはなかなかに難しいかもしれない。
次に「海」を選択する。
画面が砂浜と海の映像になれば、選択肢が5つ現れた。
細かな選択肢を見れば、大体の方法が見え、俺はとりあえず「戻る」を選択する。
なぜなら、まだ見ていない場所があるからだ。
このとき俺は、かなりのめり込むように真剣に死に場所と死ぬことをについて考えるようになっていた。
戻ってきた俺はまず「山」を見る。
3つ目の場所を見て、俺は1つのことに気がついた。
それは自殺の方法はそんなに無いということだ。
例えば、街で見た「屋上」と海で見た「岸壁」、山で見た「崖」。どれもロケーションが違うだけで、方法は同じ「飛び降りる」だろう。
ただ、このロケーションというのが重要なようで、考え込みながら最後の自宅を覗いてみることにした。
再び選択肢は5つ存在し、やっぱりと俺は自分の考えが合っているだろうことを確認した。
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