─二人の秘密の会話─

 同時刻。監視省監視部監視長室に白神とその秘書らしき女性がいた。

 高級そうな椅子に座り、目の前に置かれているパソコンからは保と男子児童のいる場所の音声が流れていた。

 白神がパソコンを閉じるとほぼ同時に女性が口を開く。

「もっと早くに手を下すべきだったのでは?」

「相手の子が殺すと思いましてね。それにできるだけこちらからは手を出したくない。私は統選者選抜の参加者というわけでもありませんし」

「相手の神宮寺保はこの前の戦いでも相手を殺していなかったようですので、殺すことにためらいがあるかと」

「いいえ。マイクロチップに蓄積されたデータから彼は人を殺すことにはさほどためらいはないと思われます。ためらっているように見えるのは、統選者選抜のルールに従うことを嫌っているからでしょう」

「監視を付けますか?」

「そうですね。監視は付けましょう」

「かしこまりました」

「ですがこちらの秘密を知っている・すぐにでも知ることが可能な人物が生きていることはあまり好ましくありません。なのでできるだけ早い時期に、目立たないように、おかしくないように、始末しましょう」

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