第17話 再会
保がスマホ画面をジッと見つめていると男子児童が話し始める。
「これはこの前お兄さんがコンビニ前で戦っていた様子」
男子児童が画面を自身の方に向け戻すとその上に手を置いた。
保がまさかと思った次の瞬間だった。
スマホの画面からガラの悪い男が取り出された。
「あれ?」
男子児童が間の抜けた声を上げる。
「お兄さんの力コピーじゃないのか」
小さく呟かれたものだったが保はその声を聞き逃さなかった。
「写真でもいいんだな」
「そうだよ。どうせお兄さんも僕がスマホを取り出した時にその可能性くらい考えたんでしょ?」
「統選者選抜の参加者、それもすでに亡くなっている人物を取り出せるとなると力の制約がかなり厳しんじゃないのか」
「さあ、どうだろうね」
保は今までの状況から相手の力の制約が何か頭を回転させる。
一番ヒントになるのは保が写った写真から保を取り出せず、そのあと男子児童が呟いた「コピー力じゃないのか」ということだろう。
素直に考えれば人間を取り出す場合はその人物の力を知っていないと取り出せないということだが……。
「いけ」
男子児童がそう命令するとガラの悪い男が動き出す。
両手で拳を作り、執拗に素肌が露出している顔や腕を狙ってくる。
「どうした、どうした、反撃してこないのか?」
「⁉」
突然写真から取り出したガラの悪い男が言葉を話したことに保は驚いた。
「話せるのか」
「何言ってんだ? 当然だろ」
「何故、あの子供に従うんだ?」
「何故? 言っている意味がわからないな」
保が一歩後ろへ右足を出したその時、わずかに保の体勢が崩れる。
その瞬間ガラの悪い男が「オラッ」という声と共に保の左顔面を狙ってきたが、保は同時に相手の右腕に左手で触れにいった。少しの差で保の方が早く相手に触れ、ガラの悪い男は消えた。──これでさらに分かったことがある。
おそらく取り出せるものは一種類限定。人間を出している人間しか出せないはず。数で攻めればいいのに動物を追加で出してこなかったことが証拠だ。それに最初の動物でネズミやシカ、ライオン、クマ、ゾウなどを一緒に取り出すことをしなかったこともこれを裏付けている。
そして力で取り出したものは男子児童の命令を必ず聞く。
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