第5話 間違いではない

 保は驚きと困惑を見せる。まさか統選者選抜に自分が選ばれるとは思っていなかった。というのも統選者選抜参加者には統選者や統選者選抜に賛同している人物から選ばれるものと思っていたからだ。

 保は紛れもなく否定的な意見を持っているため、このメールは誤送信ではないのかと疑った。だがメールを開くとそこには神宮寺保という自分の名前と統選者選抜参加者に選ばれましたという旨の内容。どうやら誤送信説はなくなったらしい。

 直前に見たメールと似たような内容がずらずらと並べられている。

 しかし、下の方にさっきのメールにはなかった【統選者選抜参加者様の顔と名前および住んでいる地域の一覧】と書かれた文字とさっきのメールにはなかった特別サイトへのURLがご丁寧にも貼られていた。

 URLをクリックして参加者を確認しようとすると『サイトが見つかりません』という文面が表示された。スマホから顔を上げると周囲からは「サイトに入れない」、「見れない」といった声が聞こえる。

 集中アクセスでサイトが落ちてしまったのだろうか?

 保は他にどんな人が統選者選抜に選ばれているのか気になっていたが、そんな思いはすぐに頭から消えて無くなった。

 自分が統選者選抜に選ばれたことに再び意識が向かったからだ。

 統選者選抜の参加者に選ばれた場合、原則として棄権をすることはできない。

 そして過去に遡っても棄権した人物は存在しない。

 これから起こることに対して、不安や恐怖ではない言葉では言い表すことのできない謎の感情が保を飲み込む。

 そこへ純水がふらふらと近づいてきて声を掛けてきた。

「たもつ~、サイト見れた?」

「サイトが見つかりませんは見た」

「保も見れなかったのかよ。どんな人が参加者に選ばれているのか気になって、クラスのみんなに訊いて回ったけど、見れなかったとか、見たけど一瞬だったから忘れたとかばっかりで」

「わざわざ訊いて回ったのか」

「だって気になるじゃんか、保は気にならないのか」

「まあ、少しは気になるな」

「だろ。やっぱそうだよな」

「時間が経てば見えるようになるだろ」

「今、見たいんだよ、この瞬間に。新しいゲームとか漫画とか発売されたらすぐにプレイしたくなったり読みたくなったりするだろ。あんな感じなんだよ」

 身振り手振りしながら自分の感情を伝えてくる。とにかく知りたいという気持ちは分かった。しかし、保にはどうすることもできない。

 刻々と時間は過ぎていき、五限目の授業が始まるのであった。

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