調理師免許取得

 バカみたいに勉強したのは高校受験以来だ。

 大学は行きたかったがお金がないし、やる気がないしで行かなかった。

 そもそも当時はかなり心を病んでいたのだ。将来について考えることさえ苦しかった。


 そんな僕だったがコンビニ、古本や天丼やとアルバイトして現在。

 とある定食屋で働きながら調理師の免許を取った。

 勉強に割いた時間は1日1時間くらい。時間としては少ないが1年以上前から地道に勉強してきたのだ。


 ひたすらここ10年くらいの過去問を解いた。毎年大体同じ内容の問題だったから余裕だと思った。


 しかし、現実は意地悪なもので、本番当日に答案用紙を開くと前年とはガラッと問題が変わっていたのだ。


 マジかよ。ふざけんなよ。水道法?知れねぇよ!


 心の中で毒づいた。


 それでも教科書を何度も読んでいたのでそれなりに回答できたし、ギリギリではあったが無事合格。

 資格取得というわけ。


 オーナーに報告し、開口一番に言われたことは、


「辞めないよな?」


 うん。ものすごく辞めたくなった。


 自営業の店なので社員には慣れないが給料は上げてくれるそうなので今すぐには山はしないが、辞めるなといわれると辞めたくなるってものだ。


 毎日9時間も働きたくなよ。


 それによくよく考えると調理師免許って要りますかね?

 なくても調理の仕事はできるし、給料上がると言っても時給が数十円上がるだけ。

 試験に合格したとはいえ、調理の技術が身についたわけじゃなく知識がちょとある手渡だ。


 2万近くお金を掛けて勉強して、何度も保健所に書類を提出しにいって……取得するかち合っただろうか?

 多少の自信には繋がったとは思う。けれど、冷静になると無駄だったのではと思えてしまうのだ。


 なんだろう。努力の賢者タイムというか、結局何かを得たところで僕自身が自信が持ってないと意味がないのかも知れない。


 はぁ……

 待遇が良くなる度に重労働させられる未来が見える見える。

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